SATRIアンプAMP-5512K試聴レポート
AMP-5512(K)は、前作のAMP-5511(K)を基に、ユーザの皆様からの要望を極力取り入れたアンプとして製品化することを目指したモデルです。
AMP-5512(K)は、AMP-5511(K)と同様に、セミフィニッシュ(半完成品)のキットと完成品の2種類用意されています。セミフィニッシュのため、アンプ基板を組み立てる必要はありません。アンプ部の調整も不要です。ほとんどの作業は電源部や切換えスイッチ、入出力端子、ボリュームなどの間の配線だけで完成します。
今回発売するAMP-5512(K)は、メーカー主導の開発方法だけでなく実際にAMP-5511を使用されているお客様からのご要望をできるだけ取り入れました。そのため、形状・音質・機能とも満足していただける内容に仕上がっています。
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AMP-5512(K)への要望
AMP-5512(K)の話が最初に持ち上がったとき、ユーザの皆様から出た要望は以下のようなものでした。
1
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ラックに入る形状にしてほしい |
2
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SATRI-LINK端子を付けてほしい |
3
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改造スペースを設けてほしい |
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4Ω対応にしてほしい |
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塗装に凝らなくても良いから前面パネル付きに |
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SATRI-ICの前の電圧段の高級化 |
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チョーク電源化 |
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安定化電源 |
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AMP-5511よりクオリティを上げてほしい |
10 |
50W以上の出力がほしい |
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オプションを用意してほしい |
これに対するメーカー(BP社)の解答は以下の通りです。
要望1の形状は以下の写真の通り、薄型形状になりました。
要望2のSATRI-LINKも付いています。
要望3の改造スペースについては、110mmx110mm程度のスペースが空けてありますので、ここに必要な回路を組み込むことにできますし、チョークトランスなどを入れることもできるようになりました。
要望4の4Ω対応は、出力段を変更することで対応しました。
要望5の前面パネルはキット、製品とも標準で付属します。
要望6の電圧入力段部分はダイヤモンド回路の採用で、電流出力のない装置を接続したときにもクオリティの劣化がない回路になりました。
要望7のチョーク電源化は、かなり実現性がありましたが最終的には入れませんでした。OSコンによる電源の良さをそのまま出したいという理由からです。その代わり、後からチョークを入れられるだけのスペース(約110mmx110mm)を設けてあります。
SATRI回路をできるだけ理想に近づけるため、全ての回路から液体電解コンデンサを排除し、コンデンサを全てOSコンだけにしました。これによって、要望9のクオリティ向上が実現されました。また、電源にOSコンを採用したため、チョーク電源や安定化電源とは違う意味で、非常にきれいな音が出るようになりました。要望8の安定化電源については、別途発売予定のAMP-6520/6521(完成品)で採用される予定になっています。
BTL化することで、要望10の50W(8Ω)を上まわる約60W(58W/8Ω、60W/4Ω)の出力を取り出すことができます。しかも、オールOSコンアンプでのBTL
60Wの音は非常にクオリティの高い60Wです。ちなみに、現在出荷しているAMP-5511(K)は、終段FETの定格が多少上がっていますので65W(8Ω)程度まで出るようになっています。
要望11のオプションにも対応しています。AMP-5511(K)と同じく、AMP-5512(K)でも抵抗アッテネータが取り付け可能なスペースを取ってありますので、AMP-5511(K)用のアッテネータがそのまま取り付けられます。セイデン製の高級アッテネータとDALE抵抗で構成したアッテネータは、大幅な音質向上をもたらすオプションとして自信を持ってお勧めできる製品です。
いかがでしょうか。ご要望のほとんどを実現したアンプに仕上がっていると思います。
AMP-5512(K)の外観
AMP-5512(K)正面
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AMP-5512Kは、黒塗装仕上げになっています。AMP-5511Kでは塗装なしのモデルがありましたが、AMP-5512(K)は全て塗装あり、前面パネル、つまみとも標準で付属します。左に入力切換スイッチ、中央にボリューム、右が電源スイッチです。入力はAMP-5520と同じく、電圧入力が3系統、SATRI-LINK端子が2系統となっています。写真を見ると、台になっているAMP-5520より幅が小さいのがわかると思います。横幅は330mmです。高さはAMP-5511より大幅に低くなり120mmです。奥行は、AMP-5520とほぼ同じ360mmです。
AMP-5512(K)の内部
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アンプ基板全体
ヒートシンクのサイズがAMP-5520と同じなので、アンプ基板の面積もほぼ同様です。1枚の基板に2チャネル分の回路が入っています。
入力は基板の両サイドから入り、中央付近のネジ端子から出力が出てきます。
電源は、基板中央から両チャネルに供給されるようになっています。 |
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アンプ基板入力部
入力部の拡大写真です。
金メッキがRCA端子で、下の2ペアがBNC端子です。
SATRI-LINK端子をBNCにしているのは、誤って通常のピンプラグをSATRI-LINK端子につなぐのを防ぐためです。 |
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出力段付近
AMP-5512(K)の出力段は、FETでなくバイポーラを使用しています。横に取り付けられている小さなトランジスタは、プリドライブ段用の石です。
出力は小さいものの、AMP-5511(K)に比べると多少放熱器が熱くなりますが、触れないほどではありません。 |
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ボリュームと抵抗アッテネータ
上の写真は、AMP-5512(K)に標準で付属する2連ボリュームです。下の写真は、DALEの無誘導巻線抵抗を使った抵抗アッテネータです。
取り付けた状態でも、後ろの電解コンデンサブロックに接触しないように充分な間隔が空いています。
SATRIアンプは、ボリュームをアンプのゲインコントロール用として使っています。SATRI回路はボリュームに電流を流す使い方をしますので、抵抗体の材質に影響を受けます。良い抵抗を使うほどSATRI回路の性能を引き出すことができます。
SATRIアンプのボリュームは、定インピーダンスにする必要はなく、純粋な抵抗体として動けば良いので、写真にあるように各チャネル1本ずつ、計2本分しか端子を使いません。 |
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電源スイッチ
なぜこんなに大きな電源スイッチを使うのか?ですが、これはOSコンに電源を入れた瞬間に流れるラッシュ電流が想像以上に大きいからです。
OSコンは、「理想コンデンサ」と呼ぶにふさわしいほど良い特性を持っています。即ち、電源ONの一瞬でチャージしてしまうため、その瞬間に大電流が流れます。それに耐えるスイッチにしなければなりませんでした。 |
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入力切換スイッチ部分
写真は縦に写っていますが、下側が前面パネルになります。
AMP-5512Kは、5回路を切換えますので入力切換部は3段のスイッチを使用しています。キット配線で一番手間がかかる部分です。 |
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お遊び
お遊びでコーリアンのつまみを作って取り付けてみました。
実物は写真で見るほど光ってはいません。黒と白のコントラストがはっきりしたデザインになります。 |
メーカーからの宣伝
「AMP-5512(K)は、オールOS-CONで構成されています。整流回路は16V1000μFを40個使用しています。この超低インピーダンス電源の特徴を生かすため出力インピーダンスの低い大型トランジスタを出力段として、最近の重いコーン紙を使ったウーファーも楽に駆動します。またBTL接続も可能になっておりモノラルアンプとしても使えます。BTL動作時の出力は58〜60Wの出力を得ることができます。また、低インピーダンススピーカーにも対応しています。ステレオ時30W+30W(4Ω)を保証しています。」
AMP-5512(K)の試聴
今回のAMP-5512(K)は、十分にエージングが終わっていない状態で試聴しました。
エージング時間は2〜3日の段階です。
◎AMP-5511Kとの比較
まず、AMP-5511(K)と比較してみます。
試聴条件は、どちらも標準で付属するボリュームを使用しています。
AMP-5511(K)は電圧入力しかできませんので、どちらも電圧入力で試聴しました。
AMP-5511(K)は、普段聴き慣れた音離れの良さと明るさ、元気の良さを感じさせる音です。
AMP-5512(K)は、とにかくすっきりとした清涼感を感じさせる音がします。暗さやもたもたしたところがなく、何を鳴らしてもさわやかさがあります。低音は、AMP-5511(K)よりも一段低い低域部分が多めに出て来るように聞こえます。しかも透明感のある低音です。高域は、エージング不足のせいでまだ多少荒いところがありますが、さらさらと細かい音が良く出てきます。ボーカル帯域は滑らかで、これも透明感があります。これらはやはりOSコンの音質に共通するところがありますので、オールOSコンアンプの出す音と言って良いでしょう。
定位は、AMP-5511(K)より少し奥に定位します。左右の広がりとセパレーションは、AMP-5512(K)の方が識別しやすくなります。この辺は、FETとトランジスタの鳴り方の差かも知れません。
1つ言えることは、直接比較するとはっきりわかるほど音は違います。ただ、価格がだいぶ違いますし、回路も変更されていますので価格差を考慮すると妥当な差と言えると思います。AMP-5511Kに抵抗アッテネータを追加した音と比較するとだいぶ差が縮むように思います。両者ともSATRI回路がかもし出す素直な音ですので、これからSATRIアンプを購入しようとしている方にとっては、AMP-5511(K)+抵抗アッテネータで楽しむか、思い切ってAMP-5512(K)にするか悩むところではないかと思います。
出力は、能率86dBのスピーカーでも6畳程度の広さなら十分です。大きめに鳴らした場合でもボリューム位置で1〜2時です。最大にした場合は近所から苦情が来ると思います。
◎SATRI-LINKでの比較
AMP-5511(K)はSATRI-LINKができませんので、SATRI-LINKでの比較はAMP-5520と行います。回路的にはAMP-5520の方が正確な再生をするようにできています。しかし、やはりOSコンの差でAMP-5512(K)の方が非常にすっきり聞こえます。AMP-5520は、重厚感があり、悪い部分もそのまま出してしまいますので、曲によってはつまらなく聞こえる場合もあります。使いこなしの難しいアンプですが正統派です。
それに対してAMP-5512(K)は、多少軽いトーンですが何でも透明感を持ってきれいに鳴らしてくれます。ラップやドリカムなどはドンシャリに聞こえるほどはっきりしています。エージングが終われば多少高域が引くと思いますが、基本的なトーンはこのまま変わらないと予想します。AMP-5512(K)でSATRI-LINKを通した音は、電圧入力の場合よりも高域の強調感が弱くなり、滑らかなトーンになります。やはりAMP-5512(K)でもSATRI-LINKで使用した方が良い結果でした。
◎一般の方の感想
エージング中にたまたま3名の若いお客様がいらっしゃいましたので聴いていただきました。始めに試聴したAMP-5511(K)の音も気に入っていただいたようですが、AMP-5512(K)の方が良かったということでした。デザインの好みの違いもあり、AMP-5511(K)のデザインが好みという方もいらっしゃいました。
次の日に試聴に来ていただいたお客様も音質についての感想はほぼ同様でしたが、AMP-5512(K)の音には「すばらしい」という評価をいただきました。
◎抵抗アッテネータでの比較
数日後に、AMP-5511KをDALE金皮製アッテネータに変更し、AMP-5512KをDALE巻線アッテネータに変更して比較してみました。抵抗アッテネータに変更した音は、どちらの機種も透明感が増し、高域がすっきりときれいに伸びた音がします。ボリュームに戻すと曇った音に聞こえます。
抵抗アッテネータを入れたAMP-5511KとAMP-5512Kは、どちらも充分に良い音で、もはや10〜20万円台のアンプの音ではありません。違いはあるものの、どちらも高次元での違いです。AMP-5512Kは、オールOSコン回路の効果か、もたもたした音が一切出ません。巻線抵抗の柔らかく繊細な高域と相まって、ゆっくりと音楽に浸れます。
AMP-5512(K)の定格
AMP-5512(完成品),
AMP-5512K(半完成品キット)
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出力
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STEREO |
20W+20W/8Ω
30W+30W/4Ω
38W+38W/2Ω |
BTL(MONO)時 |
58W/8Ω
60W/4Ω |
サイズ
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120H x 330W x 360D |
重量
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約10kg |
補足
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オールOSコン使用(市販の液体コンデンサを一切使用していません)。
3mm厚黒塗装パネル、ケースも黒塗装。
入力電圧入力 x 3
SATRI-LINK入力 x 2
黒塗装仕上げ |
価格
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AMP-5512K(半完成品キット) \230,000
AMP-5512 (完成品) \367,500 |
オプション
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DALE金皮抵抗アッテネータキット \26,250
DALE巻線抵抗アッテネータキット \68,250 |
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