illusionシリーズのSATRIアンプはBP SATRIアンプと統合され販売終了となりました。
illusion AMP-5511Mk2の後継製品は、BP AMP-5511Mk2-SPになります。 |
自然さだけでなくリアリティまでも捕え始めたアンプ
それが illusion AMP-5511Mk2
です。
なぜillusion AMP-5511Mk2なのか
初めての2電源トランス
ハイスピード・高音質ダイオード
接点にこだわる
両SATRI-ICを搭載したい
終段バイアス固定回路 <New>
優れたゲインコントロール方式
電流電送の優位性
どういう構造になっているのか
音質
もっと上を目指したい
仕様と価格
なぜillusion
AMP-5511Mk2なのか |
illusion AMP-5511Mk2の原形はSATRIアンプです。SATRIアンプの最新モデルがAMP-5511Mk2です。SATRIアンプは動作原理が画期的です。出て来る音も素直で長時間聴いていても飽きがきません。回路の動作原理は市販製品に比べユニークでとても優れています。私たちはこの優れたアンプを一流ブランドとして通用するようにしたいと強く思っています。なぜならそれだけの価値を十二分に持った優れたアンプだからです。
ただ優れているだけではなく、導入したその日からCDを聴くたびに新しい発見のできるアンプです。癖がないだけに、録音の良い曲ならその良さが良くわかりますし、曲に没頭できます。仕事をしながらBGMとして静かに一日中鳴らしていても飽きたり耳が疲れたりしない音、そのようなアンプを目指しています。
これまでのSATRIアンプの音との違いは中音から低音にかけての力強さです。瞬間的に大きな低音が入ってきても揺らがずしっかり出てきます。これは従来のSATRIアンプと比較してみないと実感できないかも知れませんが、確かに進化しています。
初めての2電源トランス |
illusion
AMP-5511Mk2は前段用と後段用に2つの電源を持っています。これはこれまで発売されたSATRIアンプの中でも初めてのことです。電源を各段ごとに用意するのは経験的にも良いことがわかっていますが、これまでは良い製品を低価格で作ることを優先していたためなかなかできませんでした。今回は少し贅沢をして2電源、2トランスを採用しました。前段は入力からSATRI-ICを駆動するまでの部分です。後段は出力バッファ部です。前段用はあまり電力を使わないので小型のアールコアトランス、後段には大電流が流せる大型のアールコアトランスが使われています。電源ダイオードも2ヶ所交換です。既に変更した回路とダイオード交換、そしてバイアス量の微調整などで満足のいく音に仕上がりました。
ハイスピード・高音質ダイオード |
A&R社のショットキーバリア・ダイオードは、1個ずつ特性を測定し、選別したものだけを販売しています。これだけ手間をかけているのは、開発者のこだわりとしか言いようがありません。通常、国産のダイオードは量産ラインから出てきた段階でほとんど特性をクリアしています。しかし、測定してみるとバラつきがあり、オーディオ用としては使えないものがけっこうあるらしいのです。これは見た目ではわかりませんから、たまたま良くないものに当たるとあまり良くない音になります。ダイオードの設計者から見るとショットキーバリアなら何でも良いというわけではないということです。
A&R社製最高級オーディオ用
ショットキーバリアダイオード
終段用電源に使用 |
A&R社製最高級オーディオ用
ショットキーバリアダイオード
前段用電源に使用 |
なぜこのダイオードが 気に入っているかと言いますと、とにかく『音が澄んでいる』というところが最も良いところです。それも、これまで使ってきたダイオードと交換するだけですぐわかるほど明らかな違いです。
電源は、アンプの音質に重要な影響を与えますが、澄んだ音で、余計な癖を出さないこのようなダイオードはもっと広く使われるべきと思いますし、このような良い音をさらに発揮させるため、今回2電源化されたillusion
AMP-5511Mk2の両方に取り入れることで、より一層の効果を狙いました。この違いは誰でもほんの数秒聞いただけでわかるはずです。
接点にこだわる |
入力切り換えスイッチもセイデン製スイッチに変更しました。入力切り換えスイッチはいつも信号が通る部分です。この部分に適当なスイッチを持って来ると、その前にいくら良いCDトランスポート、D/Aコンバータを持って来ても意味がなくなります。できる限り良いスイッチを使うべきです。セイデンのスイッチなら銀接点に金メッキという良い素材を使っていますので安心して使えます。
余談ですが、市販のアンプに使われているスイッチは、オーディオ用とはほど遠いものです。アンプの蓋を開けてざっと見てみるとわかりますが、単品で数十円程度のスイッチがたくさん使われています。音が良ければそれでも良いですが、微弱信号が通る部分や信号に直列に入る部分に使って良いスイッチは良い素材を使いますのでどうしても高くなります。音に大きく影響する部分にきちんとお金をかければその結果は必ず音に反映されてきます。
音を反映したデザイン |
次にデザインです。デザインで音を聴くわけではないという考えもありますが、一流の製品はプロのデザイナーが設計し、機能的、デザイン的にバランスの取れた美しい形を持っています。オーディオ歴が長い方ほど徐々に高級コンポーネントが集まってきます。それらと組み合わせても遜色のない個性とセンスあるデザインができないか模索して来ました。オーディオ製品は長く使うものですから飽きが来るものではいけません。個性が強すぎてもだめですし弱すぎてもだめです。既にイメージが決まっているメーカーのまねもいけません。なにより重要なのは出て来る音の印象に合うデザインでなければなりません。illusion製品の特徴はワイドレンジで透明感溢れる音です。それに清々しさと繊細さを併せ持っています。低音の押し出しも良く出ますが、その低音も音離れの良い、透明感のある低音です。illusion
AMP-5511Mk2のパネルデザインは、その雰囲気を良く表現していると思います。ほぼ満足できるデザインができ、ようやく製品としてまとまりました。
両SATRI-ICを搭載したい |
illusion AMP-5511Mk2には始めから2個のSATRI-ICを搭載しようと決めていました。コストは上がりますが音質を優先すれば当然のことと言えましょう。現在、SATRI-ICはV4.3とV5.1の2種類があります。V4.3はSATRI回路の心臓部に当たるICです。これは必ず必要です。V5.1というICはなくても動作します。V5.1がない場合はCRDを使います。どちらもV4.3が安定に動くよう、いつも一定の電流を供給するのが仕事です。大きな変動があってもそれに影響されることなく微動だにせず安定した電流を供給すること、それができると始めてV4.3も安定し、正確な動作ができるようになります。
回路的にはこの説明通りですが、ICの基板を別のものにすると音が変わります。これはわざとそうしているのではなく、基板の素材がそのまま音の違いとして聞こえてしまうというものです。電気的な違いはないので測定しても性能の差は出ませんが、耳では明らかに違って聞こえます。どう違うかと言うと、ガラスエポキシ基板、レジン基板、テフロン基板それぞれの物性がそのまま出た音という感じです。
標準搭載しているV4.3の基板はガラスエポキシです。同じく標準搭載のV5.1はレジン基板です。ガラスエポキシ基板は少し硬質な感じがしますが高級アンプに広く使われている基板材料ですので馴染みがあるかと思います。レジン基板はそれより一層硬質な音がします。高域の細かい音が良く出ますし低域も締まってワイドレンジです。しゃきっとした感じと言えばわかりやすいでしょう。テフロン基板はこれと反対に柔らかい質感です。ボーカルは暖かく柔らかい質感が良く出ます。全体に音楽的な雰囲気を出すのが得意という感じです。V4.3をV4.3テフロンに換えただけでこれだけ違いが出ますが、V5.1もテフロンにするとさらに柔らかいトーンになります。これらの組み合わせを変えると、好みの音の傾向に合わせた音にすることができます。このように、お客様の望む音に少しでも近づけられるようにしたアンプは市販製品にはほとんどないでしょう。
終段バイアス固定回路
<<New>> |
これがillusion AMP-5511Mk2の最も大きな改良点です。これまでのSATRIアンプは、終段が無帰還バッファそのままでした。これでも素直な音が出ますので充分でしたが、それをさらに改良したのが今回のアンプです。大きな信号が入っても『動作点が動かなければさらにきちんとした音が出せる』ようにしたのです。その結果、中音から低音にかけての音がしっかり出てきます。
通常、しっかりした低音を出すにはとにかく電源を強力にするという原始的な方法が使われてきました。100万円を越えるパワーアンプには非常に大きな電源トランスと電解コンデンサが使われるのが普通で、これだけでアンプの約8割を占めています。つまり、価格の大部分は電源代というわけです。しかし、実際にこの電源の能力が100%発揮されることはまずありません。そのためには常時アンプの最大出力を出している必要があるからです。常時使われるのは数ワット分の出力をまかなえる程度の電力だけです。巨大な電源トランスの能力は普段ほとんど発揮されていません。巨大な電源トランスの主な役割は、実際には大出力を出すことではなく、外乱が起きたり一時的に回路が電力を必要としたときの電源変動を抑えることにあります。大きな低域信号が入ったとき、必要な電力が瞬時に供給されないと腰砕けの音になります。そのために容量の大きな電源トランスと電解コンデンサを使うわけですが、音が揺らぐ原因がもう1つあります。瞬間的に"終段バッファの動作点も動いてしまう"のです。それならこの部分を安定化させれば良い、ということでやってみたのが今回の改良です。この方法にすると、必要以上に大きな電源はいらなくなります。
illusion AMP-5511Mk2では、終段のバイアス回路を独立して設け、常に一定のバイアスをかけています。サーボをかける方法もありますが、現時点では音質に与える影響が大きいため採用しませんでした。
終段独立のバイアス回路による効果は実際に聴いてわかるくらい大きいので、これ以上の説明は必要ないでしょう。あとは、皆さんの耳でお確かめ下さい。
優れたゲインコントロール方式 |
illusion AMP-5511Mk2(SATRIアンプ全般)はゲインコントロール方式のアンプです。市販のアンプはゲイン固定のアンプがほとんどです。何が違うかと言うと、ボリュームを絞ったときのノイズで差が付いてきます。深夜、回りが静かな環境でスピーカーに耳を近づけてみると、ツイータから「シー」とか「ジー」という音がいつも出ているのが聞こえると思います。ゲイン固定アンプではこのノイズを下げる方法はありません。ボリュームに関係なくいつも出ています。ゲインコントロールアンプは、アンプのゲインを下げられるので、それほど大きな音にしないときはアンプ自体のゲインが下がり、その分ノイズも出なくなります。パワーアンプでありながらボリュームが付いているのはこのためです。ホーンスピーカーやバックロードホーンのような感度の高いスピーカーは、ほんのわずかなノイズもはっきり聞こえてしまいます。音楽といっしょにいつもノイズが出ていると、ノイズとわからなくても音が汚れて聞こえます。これを避けるにはゲインを適切に調整して鳴らすのが実用的です。そうすれば、スピーカーの能率が高くてもアンプのノイズの影響をあまり受けずに音楽を楽しむことができます。このようなことができるようになっているため、パワーアンプであってもプリメインアンプのようにボリュームが付いています。
パワーアンプにゲインコントロール用のボリュームが付いていることは、もう1つ便利なことがあります。プリアンプとパワーアンプの組み合わせでシステムを組んでいる方はよくおわかりと思いますが、普段聴く音量ではプリアンプのボリュームがあまり上がられないということがあります。100W〜300Wのパワーアンプを入れてしまうとプリアンプのボリュームをほんの少し上げただけで大きな音が出てしまいます。ところがSATRIアンプでプリとパワーを構成するとこのようにはなりません。パワーアンプのゲインをいつも聴く平均的な音量まで下げてしまえば、後はプリのボリュームで音量を微調整できます。
なぜこれが重要かと言うと、いくら優れたプリアンプでも、ボリュームがほとんど最少の位置では性能が発揮できないことが多いからです。市販の高級プリアンプのほとんどはボリュームを使っています。ボリュームはその構造上最少位置に近いほど音質が悪くなります。また、プリアンプの性能から見ても、良いプリアンプほど、プリの出力をパワーアンプに多めに供給したほうが良い音になります。それなら、パワーアンプのゲインを下げ、プリアンプの出力を多めにしたほうが良い結果になるということです。ゲインコントロール方式は、このようにスピーカーの能率に合せて柔軟な使い方ができるのです。
電流電送の優位性 |
信号を電圧で電送するというのはもはや当たり前過ぎて誰も話題にもしません。ケーブルの話題は出てもそれは電圧電送での話です。根本的な問題として、ケーブルがいくら優れていてもプラグとジャックの接点部の信号劣化、異種金属どうしの接触による非直線性は存在します。この部分を改善するには同じ金属で作ったプラグとジャックが必要ですが、そのような製品はまず見かけません。なぜならメッキするだけで違う金属が間に入ってしまうからです。メッキしなくても錆びない材料を使うとなれば金しかありません。これはたとえできたとしてもかなり高くつきます。
しかし、そんなことをしなくても電流で電送すればだいぶましになります。電流は接点があっても電流が流れさえすれば非直線性はありません。電圧電送に比べればはるかに実用的でメリットがあります。
電流電送を推奨しているメーカーは他にKRELLがありますが、それ以外はありません。KRELLに比べればはるかに安価な製品で電流電送ができる利点はおわかりいただけると思います。
どういう構造になっているのか |
ブロックダイヤグラムを見てみると、ここまで説明した内容がひとめでわかります(図をクリックすると拡大します)。電流入力の場合、電圧/電流変換バッファをバイパスすることができて音質的に有利なこともわかります。
このようにシンプルでわかりやすい構成になっていると、ある程度回路がわかれば内部をいじるのはそれほど難しくありません。自作や改造をして楽しむ方にとっても魅力的なアンプと言えます。
音質 |
肝心の音質ですが、標準構成のV4.3+V5.1レジン+ボリュームという条件では、きれいに整った音がします。どっしり腰の座った音ではありませんが、終段の改良のおかげでボリュームであるにもかかわらず汚れたところのない低音が出てきます。ボリュームの音としては、これまでのSATRIアンプの中で最もボリュームの悪さが聞こえないアンプです。
さて、ボリュームからDALE巻線アッテネータに換えると、さすがに質感がまるで違います。ボリュームではエール音響のホーンが鳴いているように聞こえた部分や、音が混濁して少し耳障りに聞こえていた部分がきれいに分離して出てきます。
また、V5.1テフロンを搭載すると、これに柔らかい質感が加わり、より音楽的な表現力が出て、バランスの良いサウンドになります。
V4.3テフロン+V5.1テフロン+DALE巻線という最高価格の構成では、中音から下の安定感とスケール感が素晴らしく、小さな音量でもゆとりのある音が出てきます。各音は優しく、それでいて高域の細かい音も良く出てくるため、いっしょに鳴っているそれぞれの楽器のパートを聞き分けることができます。これまでのSATRIアンプでは、オールテフロン構成の場合、少し柔らかくなり過ぎるきらいがありましたが、終段バイアスの固定化によって曖昧さのないしっかりした音になったためか、オールテフロン構成の音が、これまで聞いたことのない魅力的な音になりました。SATRIアンプのまた新しい一面を見せてくれたように感じます。
これ以上は実際に試聴していただいたほうが良くわかっていただけると思います。
もっと上を目指したい |
結果的にプロトタイプとは音、デザインともだいぶ違うものになりましたが、私たちは常に『今までの製品レベルで満足していてはいけない。もっと上を目指したい』という考えで取り組んでいます。それは今後も変わりません。回路も部品もできるだけ良いものを使い、悪いところは改良してより良いものにして行く。自信を持って出せるものだけをご提供したいと思っています。illusion
AMP-5511Mk2は、既にSATRIアンプをお使いの方にも是非聴いていただきたいアンプです。
----- ★★★ -----
仕様と価格 |
illusion AMP-5511Mk2は、2電源2トランス構成にし、V4.3、V5.1のICも最初から搭載することにこだわりましたが、これだけの内容にしては割安な価格に設定致しました。さらに4種類のアッテネータもお好きなものを搭載することができるようになっています。それらの組み合わせによって価格も変わります。この点は、従来のSATRI製品と同様です。
illusion
AMP-5511Mk2仕様
入力 |
電圧
x 2(RCA), 電流 x 1(BNC) |
出力 |
50W+50W(8オーム) |
適用SPインピーダンス |
4〜8オーム |
サイズ |
325W
x 130H x 405D |
入力インピーダンス |
100Kオーム |
最大ゲイン |
30 dB |
重量 |
7.3
kg |
illusion
AMP-5511Mk2仕様別一覧表
|
ゲイン調整
|
SATRI-IC |
価格(税込) |
V4.3 |
V4.3テフロン |
V5.1レジン |
V5.1テフロン |
Type A1 |
AD-23 |
○ |
|
○ |
|
\393,750 |
Type A2 |
AD-23 |
○ |
|
|
○ |
\435,750 |
Type A3 |
AD-23 |
|
○ |
○ |
|
\433,650 |
Type A4 |
AD-23 |
|
○ |
|
○ |
\475,650 |
Type B1 |
AW-23 |
○ |
|
○ |
|
\435,750
|
Type B2 |
AW-23 |
○ |
|
|
○ |
\477,750 |
Type B3 |
AW-23 |
|
○ |
○ |
|
\475,650 |
Type B4 |
AW-23 |
|
○ |
|
○ |
\498,750 |
Type C1 |
AS-23 |
○ |
|
○ |
|
\498,750
|
Type C2 |
AS-23 |
○ |
|
|
○ |
\561,750 |
Type C3 |
AS-23 |
|
○ |
○ |
|
\551,250 |
Type
C4 |
AS-23 |
|
○ |
|
○ |
\614,250 |
●オプション
写真は6個ですが
商品は3個セットです |
銅足(3個セット) |
\6,300(税込) |
銅足は地味な存在ですが、よりしっかりした音を追求される方には是非お使いいただきたい製品です。標準ではステンレス製の足にコルク板を貼った足になっています。コルクはPL法に従って付けられているもので、置き台に傷を付けないようにするためのものです。音質的に良くするためのものではありません。少しでも音を良くしたいとお考えの際は、素材として安定した音のする銅足を一度お試し下さい。 |