レコード本来の音を初めて聞いた気がします
音を聞いて見てすぐわかるのは、イコライザが入っていないかのような無色透明さです。標準モデルのEQA-5620でこれですから、特別仕様の銅ケースモデルやV5.1テフロン搭載モデルはさらに期待できます。極めて色付けがなく自然な音なので、レコードとカートリッジの音がそのまま素直に出てきます。独自のSATRIイコライザ方式のせいか、NF型かCR型かというようなことは一切気になりません。片っ端からレコードを替えて聴きたくなります。 EQA-5620にはゲイン切り換えが新設されたので、出力の小さいカートリッジでも気にせず使えます。そのおかげでヘッドアンプもトランスも不要になり、EQA-5620に直結できます。これが最もシンプルで良いです。
ちょっとした工夫ですが、銅ワッシャをカートリッジのネジ部に使うと、非常にしっかりとした音に変わります。ネジやナットも銅にするとさらに良くなりますが、DL-103には3mm径の銅ネジが通らないので実験できませんでした。
EQA-5620イコライザからプリ(PRE-7610)を通し、パワー(AMP-5511Mk2)でスピーカーを駆動します。 この構成では、全てSATRI回路とSATRI-LINKを装備していますので、電流伝送/電圧伝送のどちらでも接続できます。
EQA-5620標準モデル(アルミケース、V4.3+V5.1レジン) 良い意味でイコライザを通しているという感じがしません。試聴機のEQA-5620はV4.3とV5.1レジン搭載の構成になっているのでSATRIアンプを同じIC構成にしたときと良く似た印象です。良い意味で癖がなく、ニュートラルかつワイドレンジで細かい音まできれいに出て来ます。トランスやヘッドアンプ、市販のイコライザを通したときのような癖を排除し、レコードの音をできるだけそのまま取り出すには充分なクオリティを持っています。 EQA-5620は、前モデルのEQA-5610のように電池電源ではなく、AC電源になったため力強さが加わっています。 EQA-5620にはゲイン調整が付いています。ゲインの違いを聞いてみます。ゲイン切り換えは、-14dB、-6dB、0dBの3段階です。各ポジションで少しずつ聞こえ方が変わります。-14dBではプリのボリューム位置が上がるせいかプリの影響が多めに出てきます。が、それ以上に、イコライザでゲインを抑えると、そこで音の表現力もいっしょに抑えられるような鳴り方になります。音の伸びが少しなくなる感じです。イコライザのゲインを-6dBに上げてプリのボリュームを同じ音量まで下げて聴くと、同じ音量なのに伸び伸びと鳴ります。0dBでは最も良いので、基本的にゲイン調整はカートリッジの出力が大き過ぎる場合にのみ使うのが良いようです。 EQA-5620は、MCポジションではカートリッジの間で電流伝送を行っているので(MMポジションでは電圧伝送になります)、カートリッジの取扱説明書に書かれている出力電圧表記はあまり参考になりません。カートリッジから何mA取り出せるかによって、イコライザから出力される量が決まります(電圧/電流出力とも)。 さて、この状態でEQA-5620とPRE-7610の間を電流(SATRI-LINK)で接続してみます。接続ケーブルによっても多少音は変わりますが、基本的に電圧伝送の場合とは違う音になります。電流伝送の音と比べると、電圧伝送では何でもメリハリのある音のように聞こえます。電流伝送にすると適度に音のカドが取れ、場合によってはとげとげしく感じる音が滑らかになります。レコードには電流伝送の音のほうが良いです。 カートリッジ→イコライザ→プリまでを電流リンクにすると、パワーアンプも電流リンクで鳴らしてみたくなります。さっそく接続して聞いてみました。結果は、「とても良い」の一言です。音の出方ががらっと変わりました。女性ボーカルの声にツヤが乗り、生き生きと歌い出し音場の立体感が増しました。 アルミケースは銅ケースに比べ少し軽めの音になりますので、V4.3+V5.1テフロンか、V4.3テフロン+V5.1テフロン構成で鳴らすという使い方がお勧めです。さらに滑らかなトーンにするときは電流出力でお使いになるとさらに良いです。
標準のV4.3+V5.1テフロン構成のままで音出ししてみます。音が出た瞬間に、「もう言う事なし」という雰囲気のある音が出てきます。クラシックでは奥行きと空間表現がしっかり出るだけでなく、各楽器の質感がとても良いです。音に厚みがあるのでどのジャンルでも安定した音が出ます。ジャズボーカルはもちろん、アルトサックスの深みのある音と演奏はたまりません。ヒューズはサブゼロ処理済みのSBF-1.6Asを取り付けていますが、中域重視ならサブゼロなしのSBF-1.6Aも合います。 V4.3テフロン+V5.1テフロンにすると標準の組み合わせよりさらに柔らかい音になります。ただ、アンプ、スピーカーなどとの組み合わせによってはこちらのほうが合う場合もありますので迷うところかも知れません。 お勧めは、やはり銅ケースモデルのV4.3+V5.1テフロンが一押しです。レコードを楽しむのにこれ以上必要なのかと思うほど良い雰囲気を醸し出してくれます。多少柔らかめのサウンドが好みの場合はV4.3テフロン+V5.1テフロン構成が良いでしょう。アルミケースモデルなら最低でもV4.3+V5.1テフロンから上の構成をお勧め致します。アルミケースモデルでも、銅足を取り付けたり、銅ネジ類を内部にできるだけ多く使うことで銅ケースモデルの音に近づけることはできると思います。
イコライザにSATRI-ICを使う最も大きな利点は、カートリッジから出力される「電流」を入力として使う点です。MCポジションでMCカートリッジを使ったとき、カートリッジとイコライザの間は電流電送されます。市販のほとんどのイコライザは電圧で受けますので電圧電送になります。複数のカートリッジを持っていてその音を良く知っていると思っている方でも、ほとんどは電圧電送されたときの音しか聞いていません。電流電送されたときの音を知っている方は少ないでしょう。一言で言うと、電流電送された音は「滑らかに」なります。荒い部分がなくなり、ときには繊細ときにはしなやかな表情を見せます。この音は聞いてみないとわからないと思います。レコードの音という概念がひっくり返るような気持ちになるでしょう。 このような音の変化に伴い、それまで聴き慣れていたレコードから、それまで聞えなかった音が聞えてきます。 【機能一覧】
ブロックダイヤグラムを見てみると、ここまで説明した内容がひとめでわかります(図をクリックすると拡大します)。電流入力の場合、電圧/電流変換バッファをバイパスすることができて音質的に有利なこともわかります。 電流/電圧出力は同時に出ていますので、両方のケーブルをプリアンプに接続していれば、簡単に両方の音を比較することができます。
illusion EQA-5620仕様
illusion EQA-5620は、標準でV4.3、V5.1のSATRI-ICが搭載されています。ICの組み合わせによってそれぞれ音が変わりますので、お好みの組み合わせでご注文いただけます。また、銅ケースモデルには標準で銅足が付きます。
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