SATRI-STAXパワーコンバータ
2004.08.27


SATRI
STAXできるかな?

SATRISTAXできるかな?

 STAXイヤースピーカーは市販のダイナミック型ヘッドホンでは出せない高品位な音がしますが、それを駆動するアンプは現在のところSTAX純正品しかありません。STAX純正アンプも良いのですが、何機種かあり、それらを組み合わせて出て来る音はどれも違います。いろいろ聞けば聞くほどどれが最もCDに入っている音に近いのか判断できなくなります。また、長い間「もしかするとSTAXイヤースピーカーの音より、STAX専用アンプの音色がかなり混じった音を聴いているんじゃないだろうか?」と思っていました。

 その思いはSATRIアンプを毎日使っているとますます募ってきます
SATRI
アンプでSTAXイヤースピーカーを鳴らしたらどんな音がするか聴いてみたいと思うのは当然です。でもそういう製品はありません。しかし欲しい。何とかならないか、と思ったのが1年以上前です。しばらくはアイデアだけで全く進展しませんでした。

CD試聴機登場

 ところが、2ヶ月ほど前、秋葉原店にCD試聴機を入れ、新譜の試聴をし始めた頃から真剣に必要性を感じ始めました。というのも、このCD試聴機*1は『110万曲のCDが試聴できる』ことを売りにしているものの、著作権上の理由でわざと少し音質を落としています。これを付属のダイナミック・ヘッドホンで聴くと、はっきり言って聞けたものではありません。あまりにもひどいので古いSTAXドライバーとイヤースピーカーをつないでみたところ、とりあえず聴けるようになりました。しかし、SATRIの音とはだいぶ違います。この試聴機は、あくまで「どういう曲が入っているか確認して欲しいCDを探す」目的に使う、と割り切った方が良いです。そう考えれば良い機械です。毎月発売されるオーディオ誌で紹介される最新CDがどういう内容か確認できますので、好みでないCDを買ってしまうことがありません。いわゆる「ジャケット買い」をしなくて済みます。


CD試聴機画面
タッチパネルなので爪の先でボタンをちょっとつつくだけで操作できます。 

 ついでですが、現在駅の出口に建設中の4棟のビル群と、上野方面に向かう山の手線の線路の間の道路がきれいに舗装され、道幅も広くなりました。以前は駅から試聴屋は見えなかったのですが、現在は駅から直線で見えるようになりました。『電気街口』の改札を出たら右に出て、そのまま線路沿いにまっすぐ歩きますと5分かからないくらいで試聴屋に来ることができます。秋葉原にお立ち寄りの際は、巡回ルートに入れていただければと思います。

*1 CD試聴機について:国内発売の新譜CDならほぼ全て試聴できる優れものです。試聴屋のお客様はどなたでも試聴いただけます。その場で欲しいCDを注文することもできます。椅子に座ってゆっくり試聴できます。ただし、試験的にまだ1台しか導入していませんので、混み合ったときは順番待ちになります。平日は比較的空いています。発売前の最新CDも試聴できます。各曲45秒ですが、CDに入っている曲は全曲聞けるようになっています。

STAX用パワーコンバータできましたけど・・

 そこで、SATRIアンプの出力をSTAXイヤースピーカーが駆動できるように変換するための装置:『STAX用パワーコンバータ』を試作しました。STAXイヤースピーカーを純正ドライバーでないアンプで鳴らすのは初めてですが、STAX純正ドライバーとはかなり違う音がします。比べてみると、STAX純正ドライバーの音は「"STAX"というブランドに合う音にしてあったんだなあ」と感じました。SATRIアンプにSTAX用パワーコンバータを通して聴いた音は、やはりSATRIの音でした。SATRIの音とSTAXイヤースピーカーの軽い振動板から出る反応の良い音の相乗効果で、スピーカーを鳴らしたときとはまた違う音ですが、良いです。やっと、純正以外のアンプを使ったSTAXイヤースピーカーの音を体験できた気がしました。

 試聴時の構成は、CDPSCA-7511(AMP-5512)→パワーコンバータ→STAXイヤースピーカーです。

 STAX用のコネクタがなくて苦労しましたが、テフロンに金メッキのピンを付けたコネクタを特注しました。このコネクタのせいで音が良い?かどうかは比較できないのでわかりませんが、だいぶ良い材料を使っていますので、STAX純正のコネクタよりは良いのではないかと推測します。


光で動くぞ、パワーコンバータ

 STAX用パワーコンバータはどのSATRIアンプにもつなげます(SATRIプリの出力はつなげません。SATRIパワーアンプの出力をつなぐようになっています)SCA-7511AMP-5512につないでみると、同じSATRIアンプでもアンプの違いがはっきり出ます。電源ですが、試作品では電源の違いをみるため、ACバッテリー、電池、太陽電池の3つの電源が使えるようにしました。一般のアンプでは、電源の違いはもろに音の違いとなって現れますが、STAX用パワーコンバータでは、電源の差はごくわずかでした。消費電力が非常に小さいので電池(単3 x 4本)でも数ヶ月はもちますが、太陽電池なら日中は太陽光で、夜は電球の下に置いておけば半永久的に使えます。太陽電池は当初冗談でやってみたのですが、実際に動いたのを見たときは驚きました。AC 100Vを使わなくて済むというのは大きなメリットで、電源から入って来るノイズや電源ケーブルの質を気にする必要がなくなります。電池は本体の中にセットするようになっていますが太陽電池ならいちいち交換しなくて良いですし、電池の消耗も気にしなくて済みます。

STAXとスピーカー切り換え付き

 接続は、SATRIアンプのスピーカー出力をパワーコンバータの入力に入れるだけです。スピーカーと切り換えて使えるように、スピーカーへの出力も付いています。前面にある切り換えスイッチでSTAXイヤースピーカーとスピーカーのどちらを鳴らすか切り換えられるようにしましたので、一度配線すればいちいち配線を替えなくて済みます。サイズはSCA-7511と同じくらいです。

こんせぷと

 この試作機のコンセプトは、

クオリティはSATRIアンプで、変換はコンバータで》

というように役割を分担させようということです。

 既にSATRIアンプでクオリティの部分は確保されていますので、あと必要なのはゲインも音を良くする必要もなく、ただ変換してくれるだけの変換器があれば良いという考えです。

 ですから、STAX用パワーコンバータさえあれば、好きな予算とシステム構成で小型のシステムから最高グレードのものまで組めるわけです。

 たとえば、安価で小型に組みたいときは、

SCA-7511→パワーコンバータ→STAXイヤースピーカー

の構成でできますし、もっと高品位な音にしたければ

AMP-5512→パワーコンバータ→STAXイヤースピーカー

にするだけでオールOSコン仕様SATRIアンプで良い音が楽しめます。

さらに音の表現力を出したければプリを追加して、

PRE-7610AMP-7511M→パワーコンバータ→STAXイヤースピーカー

PRE-5410AMP-5511Mk2→パワーコンバータ→STAXイヤースピーカー

という具合に構成を替えて行くとどんどんハイグレードな音がSTAXイヤースピーカーから出せるようになります。STAX専用に大がかりなSATRI式専用アンプを作るよりも、こちらの方がスピーカーとSTAXイヤースピーカーの両方で使えますので経済的です。システム構成の一部を替えればSTAXイヤースピーカーの音も変わりますのでいろいろと楽しめます。

 この構成ではスピーカーも鳴らせますから、STAXの音とスピーカーの音をスイッチひとつで切り換えて比較することができます。

 STAX専用ドライバーなら、新製品が出れば買い替えになりますが、SATRIのシステムなら一部だけ無理なくグレードアップして行けます。

欲しいですか?

 製品化するかどうかは未定ですが、もし欲しい方が多いようでしたら製品化するかも知れませんので、この記事をご覧になって興味を持たれた方はお問い合わせ下さい。量産した場合の価格は、大体5.86.5万円程度でできそうです。製品にするときはケースもSCA-7511と同サイズにして重ねて使用できるようにし、パネルもillusionタイプの正式なものを付けたいと思います。

お問い合わせ

 [STAX用パワーコンバータ問い合わせ]というタイトルでお送り下さい。

E-Mail :
FAX : 03-5296-9266