SATRI-IC-SP V1.0試聴
2007.04.27



SATRI-IC-SP V1.0

新IC試聴

 2007年4月26日、新SATRI-ICが到着しました。さっそくAMP-5514に入れて試聴しました。前評判の高い新ICがどのような音か興味津々です。

 取り付けたばかりの状態では、一聴すると少し音量が小さくなったように感じます。しかし、良く聴くと音の滲みがなくなったためなのがわかります。では低域が痩せたのかと思っているとそうではなく、実体感のある低音に変わっています。今まではハイファイ録音のこれみよがしなワイドレンジ録音のCDではそれがわかりましたが、古い70年代のCDに入っている音でも、古いながらその当時録音されたであろう本物っぽい音が聞こえてきます。

 どの音も「実体感」が伴って鳴っている点がとても好ましいです。音場は全体に端正でまとまりが良くなっています。ここでも滲みが少なくなっている点がよくわかり、細かい音というよりも「楽器そのものの存在感」が出て来たところがとても好ましいです。今までのSATRIアンプでさえ、市販のCDではなかなかその存在感が出ず、オーディオ的な鳴り方だったのが、新ICで始めて本物に近い質感が出たのが嬉しいです。

 それが最もよくわかるのがピアノとボーカルです。従来のSATRIアンプと新ICが乗ったSATRIアンプを比べるとすぐわかります。ボーカルは、スタジオのマイクの前で声を出しているようすがその周囲の空気感といっしょに感じられるようになりました。

 エージングが進んでくると、低音の量感も出てきますが、やはり質が違います。野放図に鳴り過ぎず、きちんと制動された低音です。小型スピーカーでも量は過不足なく出ています。シンバルやバイオリンの高域はきつくならずきれいに上まで伸びた美しい音です。

今回使用したスピーカーはCASTRONのMk1 SEとMk2 SEです。ダクタイル鋳鉄製の重いキャビネットを使い、箱鳴きを徹底的に排除したスピーカーです。新ICを搭載したSATRIアンプとはベストマッチでした。今後、SATRIアンプで鳴らす小型スピーカーのリファレンスにする予定です。

 新ICは、SACD/CDの違いもとてもよく出します。新ICで聴くSACDのサウンドは情報量がとても多いのに自然です。CDにすると、粗いわけではありませんが情報量が切り取られているのがわかります。軽くあっさりした音場になります。SACDに入っている情報の何割かは音場情報らしく、2つのスピーカーだけで上下左右の拡がりと、その空間にある音がわかります。出ている音のどれも聞こうと耳を澄ませば聞き分けられるくらい分解能が高いのに、全体として聴くとバランスが取れていて自然、という高いレベルで完成度が高いサウンドになりました。確かに、この音に慣れると、これまでのSATRI-ICは使えないと思う気持ちがわかります。

 IC交換だけで従来よりかなり高い完成度の音が出せることは間違いないようです。SATRIアンプをお使いの方はとてもラッキーです。たった2個 ICを交換するだけでアンプを交換したほどのグレードアップができるからです。早くDAC - プリ - パワーと全て新ICに交換した音を聞いてみたいと思いました。