引き続き突然ですみませんが・・・
SATRI-IC Ver5.1テフロン版もできてしまいました!
2002.04.20


Ver5.1レジン版(左)とテフロン版(右)
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 Ver5.1レジン版(FRP-4)ができて浮かれていたところに、またもやテフロン基板を使ったV5.1が送られてきました。テフロン基板を使った市販のオーディオ製品というのは、私が知る限りマークレビンソンの最高級プリにしか使われたことがないと思います。基板の違いによる音の差を聴くというのは簡単にはできないことなのでうれしいのですが、最初に手にしたとき感じたことは、音よりも「たぶん高いだろうな」ということだけでした。

 上の写真はレジン版とテフロン版を並べたものですが、ご覧の通り、見た目はほとんど違いがわかりません。そこで間違うといけないのでOC-CONの頭にシールを貼ことにしました。水色がレジン版、金色がテフロン版です。テフロンなら白い色だろうと思い込んでいましたが、実際には基板として使うために基板の内部に繊維を混入したり、緑色のレジストをかけたりしていますので、基板自体はほとんど隠れてしまっています。

 わずかにCRDを取り付ける端子の部分だけが見えています。金色をしていることからもわかるように、緑色のレジストの下のパターンは全て金メッキになっています。さて、音質的にどれくらい違うのでしょうか。

試 聴

 この音はレジン版とは正反対と言っても良いくらい違います。レジン版は正確さと高解像を極めたような音ですが、テフロン版は、アナログの音を極めたような音がします。この音はレコードファンの方にも文句なしにお勧めできます。レコードの鳴り方が再現されたような音がします(ただし、カートリッジの癖を取り去り、CDの正確さを加えたハイレベルな音です)

 細かい音もきちんと出ていますが表現のしかたがかなり違い、レジン版では細かい音までエッジが立った感じに出るのに対して、テフロン版ではさりげなく、いろいろな音が空間で重なったり融合したりしながら聞こえて来るという違いがあります。奥行きは、テフロン版の方がレジン版より奥に定位するように聞こえます。音場感はテフロン版の方があり、曲によって多彩に変わるのがわかります。

 各楽器の躍動感が際立っているので、「すぐそこで生きた人間が演奏している」というような雰囲気と音が出てきます。声がまた色っぽくて生々しい。音楽の雰囲気がとても良く出るサウンドになります。たかがIC 1個でこんなに変わっていいのかと思うのですが、事実なのでしかたがありません。「マスターテープに最も近い雰囲気の出る音」、「音楽にのめり込める音」という表現がぴったりだと思います。夜にクールジャズやジャズボーカルを聴いていると、高層ビルの最上階にあるバーラウンジでカクテルでも口にしながら外を眺めたくなる。そういうイメージが勝手に頭の中に浮かんで来ます。なんということのないドリカムの吉田 美和の声が麻薬的に魅力のある声に聞こえるとか、古楽器演奏のひなびた音がとても味わい深い音に聞こえるとかいうことは、たぶんこのテフロン版ICの持つ能力のごく一部なのかも知れません(※この部分はちょっと大げさに書いてます。すみません)。

 全体の音は、レジン版が冷静に分析的な聴き方になるのに対して、テフロン版は、聴いていると肩の力が自然に抜けて行くような音です。レジン版がクール、テフロン版がウォームと言っても良いです。FMアコースティックの音をご存じの方でしたらそれに近い高級感と上品さを持っています。音のメリハリやすっきりした音、細かい音まではっきり出ているとわかる音を求めるならレジン版の方が良いでしょう。

 音楽に浸って至福の時を味わいたいなら迷わずテフロン版をお勧めします。SATRI-ICを改良して行った結果、アナログに近付いてしまったというのは良いことなのか悪いことなのか、今はまだ判断できません。この音はこれまでの正確な音とは少し違うのかも知れませんし、それを越えて、(聴いたことはありませんが)元のマスターの音に近付いてしまったのかも知れません。

 簡単ですが、違いはおわかりいただけたと思います。後は、ご自分のシステムにどちらが合うか、どちらの方向に進みたいかで決めるのが良いと思います。テフロン版は高いですが、高いから必ずしも良いという意味ではなく、好みの違いでお選びいただくのが良いと思います。

 メーカーによると、SATRI回路はこの先もまだまだ改良して行くところがあるそうです。今の音よりさらに上の音がどういう音なのかまだ想像もつきませんが、おそらくこの先最低でも数年は楽しめそうです。SATRIアンプって本当にいいですね。