音・・・・・

SATRI-AMP+SATRI PHONOEQ



さて音出しです.改造後の5511KとROKASAN−RADIUS3、LYRA LYDIAN、JBL4425で聴きます.
製作のところでも書きましたように入力にOSコンを挿入した後での試聴です.
103Rでは製作したPHONOEQとAMPでは少しGAINが足りない感じです.もっと出力電流が大きいカートリッジのほうがよさそうです.
というわけで最近入手したLYRAのLYDIANに選手交代です.このカートリッジは出力電圧0.5mV、インピーダンス4Ωなので実に125μAの出力電流があります.
 
●一枚目
このためにととっておいたPINKFLOYDのTHE DARKSIDE OF THE MOONを聴いてみます.エージングは3日間してありますので信号系を除けばほぼ終了しているはずです.
しょっぱなから「これはいける」という感じです.このアルバムをご存知の方はお解りでしょうが随所に心臓の鼓動のような音がはいっています.その音が今までよりもっと低く、もっとはっきり聴き取れます.
MONEYでのレジスターの音、TIMEでのベルの音、どれもリアリティーたっぷり鳴ります.デイビッド・ギルモアのギターもホントに丁寧に弾いているのが如実に解ります.ロジャー・ウォーターのしゃがれ声もいい感じです.
●二枚目
チョンキョンファのバッハのバイオリンソナタ、パルティータを聴きます.これはキングのスーパーアナログシリーズの盤でフィルターがかかっていず、録音された時の音がすべて記録されています.
彼女のバイオリンは生で2度聴いていますが最初に東京文化会館で聴いたバッハは今でも耳に残っています.
レコードではその雰囲気が今一つ伝わってこなかったのですが・・・・
SATRIで聴くと生にかなり近いものがあります.あの時、髪を振り乱し、足を踏み鳴らして弾いていた彼女の情景が浮かんできます.あらためてすごい演奏だと思いました.とにかく微細な情報が次から次へとSPから飛び出してくるという感じです.といっても押し付けがましいのではなく自然と出てきます.
●三枚目
JAZZボーカルを聴きます.ローズマリー・クルーニーです.
う〜ん、いいな〜.極めて自然です.他にたとえる言葉が見当たりません.「さ行」がきついこともないです.
●四枚目
さてさてここからが本チャンです.レコードが不得手なオーケストラを聴きます.
まずはシューベルトの未完成です.カール・シューリヒト、ウィーンフィルの演奏です.この演奏は数ある未完成の録音の中で私が最も好きな、また最も優れていると思うものです.
シューリヒトの演奏は微細なニュアンスやダイナミックレンジの変化が随所にあってよい装置でないとそれなりに聴けないのですが・・・・
これはすごいです.まさに「幽玄さ」そのものです.レコードを聴いていて久々に背筋がゾクゾクしてきました.まさに名人芸!細かなダイナミックレンジの変化が如実に解ります.私がたまに聴いているサントリーホールに近い音です.
ここまで情報量が多いと文句のいいようがありません.今まで聴いたどの装置でもこんな音はありませんでした.
う〜〜む、なんといったらよいのでしょうか?とにかく私には好きな音であることだけは間違いないです.
●五枚目
次はベートーヴェンの4番です.エフゲニー・ムラヴィンスキー、レニングラードフィルの演奏です.
強大なダイナミックレンジと大音量を誇るオケを自由自在に操る痩身長躯のムラヴィンスキー・・・・
第四楽章のドライブ感は圧巻です.いままではなんとなくもったり聞えていたのですが実際はそんなことはなかったのが解りました.時間軸の歪がないとはこういうことなのかな?と思ってしまいます.よくいうハイスピードとは少し違いますが・・・
●六枚目
次はブルックナーです.カール・シューリヒト、ウィーンフィルの9番です.
前々からこの曲はこの世のものとは思えなかったのですがその感をますます強くしました.第一楽章が鳴り出したとたんにもう「宇宙」を感じてしまいます.とにかく音の広がり方とダイナミックレンジの大きさが今までと違います.空気感を伴ってふっと音が迫ってきます.40分そこそこでブルックナーの曲にしては短い(もちろん未完成ではありますが・・)のですが、聴き終わるとぐったりしてしまいます.それほど緊張感のある曲であり、演奏です.そしてSATRIでの再生です.
●総評
なんと形容したらよいのでしょうか?とにかく今まで聴いた装置でこんな鳴り方をするPHONOEQはありませんでした.SATRIの特徴なのでしょう.ましてPOWERAMPまでSATRIなのですからより一層そうなるのでしょう.表現は悪いですがよりCDライクな音といえばいいでしょうか.俗にいうアナログ臭さは微塵も感じられません.LYDIANも少しはかっているのでしょうが「えっ、こんな音はいってたの?」ということがままあります.それも自然に出てくるのでちょっと聴くとなんでもないように思えるから不思議です.パワーで「これでどうだ!」でもなく分解能で「これだけ出しました」でもなくスピード感で「これだけ入ってまっせ!」と急かされるわけでもなく「ま〜こんなもんじゃないんですか?」という感じです.
●装置について
文句無しです.これ以上の改善の余地はあるのでしょうか?やるとすればAMPとのリンクをSATRILINKにすることくらいでしょう.いずれはやってみるつもりですが・・・(パーツの高品質化という手段もありますが私の主義ではないので・・・)
ノイズの影響は皆無といってもいいくらいです.高域も低域もしっかり出ています.といっても私の耳での話ですが(^^;
容量負荷切換は使用したLYDIANの場合、1000pFくらいがちょうどいいようです.ただ予想通り電圧入力回路ほど改善効果はないです.よく考えてみるとMCカートリッジとOSコンとSATRIICの入力インピーダンスとで既にLPFを形成しているのですネ.正直いってあえていれるほどのものでもないなという感じです.
オフセット電流の調性は可変抵抗だけの場合はちょうどいいところを探し当てるのはちょっと骨が折れます.使い勝手を重視するならDCサーボによる積分回路をいれたほうがよいでしょう.
いやはや、まいりました.POWERAMPを作った時に比べて聴いてみた時のビックリ度合が違います.
ますますCDを聴かなくなってしまうのではないでしょうか・・・(^^;
AMPの場合は製作した5511Kよりもっとよさそうな機器は心当りがありますが今回のPHONOEQは今まで私が聴いたことがあるどんな機器とも異なります.MCカートリッジからこれだけの情報量、躍動感を引き出して尚、SN比が優れているものは見当たりません.ほんとにまいりました.ただし録音や演奏の善し悪しは如実に表れるようです.レコードをとっかえひっかえ聴いていて「あれ〜」と思うものもあるました.これは好みの割れるところでしょう.というわけでこれ以上のTUNEUPはできそうにありません.LYDIANは音の緻密さでは申し分ないのですが音の骨太さが今一つなのでCLAVISがモデルチェンジ(出力がUPする予定)したら換えようと思います.少々お高いですが・・・
最後に...今回の回路(利得定数、CR定数、OSコンの入力カップリング等)を採用したSATRIPHONOEQを使用する際の注意事項を一つ.私のようにPHONOEQ出力を直接POWERAMPに繋ぐ場合は全体の利得をよく考慮しないと出力不足を招きます.AMPのGAINが28dB程度で機器間が電圧インターフェイスの場合は100μAくらいの出力電流を持つカートリッジがいいようです.入力感度が90dBくらいのSPを使用して13畳のリスニングルームでATTが-20dB前後で適正音量が得られます.我が家では103R(0.25mV/14Ω)よりLYRA-LYDIAN(0.5mV/4Ω)やオルトフォン-S20(0.5mV/5Ω)の方がよい結果が出ました.