TUNE  UP

変更内容


●線材変更
線材をアース取りを除き、全てPTFE被覆の単線に変更しました.入力信号系は1mm、電源系は1.8mmです.
線材は非常に硬いので取り回しは結構骨が折れます.
信号線とVRを接続する配線は銅箔によるスパイラル状のシールドを施してあります.
●Small-L変更
Small-Lの値を約130μHから約400μHへ変更しました.トーキンの10A、1mHのコモンモードチョークコイルを改造してあります.オリジナルは重ね巻きがしてあるので、巻線をPTFE被覆の1mm線に変更て巻き直しました.巻数は16ターンから10ターンに減りました.加えて今後変更が容易なようにダイオード、コンデンサとの接続はコネクターに変更しました.
あと前回作成したLの巻き数を増やして160μH程度としました.左が400μH、右が160μHです.
●バランスの定数変更
製作したバランスは1dB単位の調整が可能ですが使用してみると次のことが解りました.
1.1dBでは調整STEPとして私には少々大雑把に過ぎる
2.4dBの調整は不要
というわけで調整STEPを0.5dB、調整範囲を2dB、挿入損1dB、負荷20KΩとして作り直しました.
 
dB
L
R
dB
相対dB
備考
0
0
1
16K
-∞
 L +2.003 R-∞
Lのみ0dB再生
0
0
2
470
-2.003
 L +2.003
-0.245
560
3
470
-1.752
 L +1.507
-0.497
560
4
510
-1.507
 L +1.011
-0.756
560
5
510
-1.250
 L +0.493
-0.999
510
6
510
-0.999
0
中間点(挿入損)
-1.250
510
7
560
-0.756
R +0.493
-1.507
510
8
560
-0.497
R +1.011
-1.752
470
9
560
-0.245
R +1.507
-2.003
470
10
0
0
R +2.003
-∞
16K
11
0
0
R +2.003 L -∞
Rのみ0dB再生

結果



PHONOEQをLUX E-03、ADPをROKSANのRADIUS3、カートリッジを103Rで聴きます.
線材をすべて(PHONO、PINも含めて)変更したのでエージングに手間取りました.最初はなにか寸詰まったような音でどうしたものかと思ってしまいました.
エージングが進んでくると非常に鮮烈な音に変わりました.といっても耳にきつい音ではありません.ソースの情報をあますところなく描写するといった表現が妥当でしょうか.使用した103Rでは少々物足りない感じさえします.但し音のふくよかさは減退します.
最初はスピーカーケーブルもテフロン線にと考えましたが、やってみるとあまりにも・・・という感じなので普通のケーブルにしてあります.TalaLabの6N-OMNIというもので非常に安価ですが0.5mmの6N銅単線を7本使用してあって癖がないよいケーブルだと思います.
その他PHONOケーブルはPTFE被覆の1mm線、ピンケーブルは同じくPTFE被覆の1.8mm線で作成しました.余談ですが1.8mm線を手で捻るのは一苦労です.
L変更の効果かどうか定かではありませんが人の声が一層生々しくなりました.ボーカルはあまり聴かないのですがリアリティーは明らかに向上しています.「さ行」のきつさもありません.やはりノイズの影響はSATRI回路といえども無視できないのでしょうか?(SATRI回路といえども終段の出力素子は電源に対して裸です.電極間容量を介してのノイズの影響は受けてしまいます)
Lの切換ではオリジナルの1mHでは音像の中心が若干低域によります.CHOKE効果が現れているのでしょうか音が少し重たい感じになります.160μHでは明るい感じで130μHとの差異は聴き取れませんでした.400μHだと明るい感じはそのままで低域がより奇麗に出るようです.この位がノイズ対策としては妥当な感じです.
バランスはいい感じです.これくらい微少調整ができれば充分でしょう.調整範囲も現在市販されているカートリッジを使用する限りチャネル偏差はそんなにないので2dBで十分なようです.
フロントパネルには簡単にお化粧を施しました.
以上で今回のTUNEUPは終了です.今のところこれ以上の改善策は思い付きません.あとやるとすればSATRIKINKでしょうか.機会をみてやってみるつもりです.
これで一様、私の5511Kは完成とします.