3.電源部、シャーシ
電源部
電源部を果たしてどうしようか?またまた悩みの種です.トランスと平滑コンデンサは試聴屋さんから購入しました.
平滑コンデンサは好みのものを使用すればよいと思います.
私の感じではELNAはきれのあるシャープな音、ニチコンのGSはふくよかな音、BLACKGATEはハイスピードな音・・・といった具合にそれぞれ特徴があるようです.
私は今のところELNAを愛用していますので今回もELNAにしました.
試聴屋さんの新しいキットでは集合コンデンサになっていますがこれを個人で作るとなるとちょっと大変です.
ただ最近では海外メーカーを始め集合コンデンサを使用する例が増えていますので低インピーダンス化の効果はあるのでしょうネ(サザーランドやエアなんか・・・)
トランスとコンデンサ
さて、悩みの種は単なるコンデンサインプットではなくてもう一ひねりほしいということです.
チョークインプットも考えましたがA級動作ならまだしも瞬時に大電流が必要となるAB級にはちょっとという感が否めません.
もちろんコイルのお金も問題です.
一度、チョークインプットのAMPの音(AB級)を聴いたのですが私には音は奇麗で低域も申し分ないけど力感が今一つに感じられました.
そうこうするうちそんぴさんよりSmall-Lのことを聞きました.
MJで安井先生もやっておられるようにチョークまでは行かなくとも平滑コンデンサの前にLを挿入して整流回路が発するスイッチングノイズや突入電流を制御するのがSmall-Lです.
ただ手に入りやすいLはスイッチング電源用の小型のものが多いので今回のように数A流れるAMPの場合はどうしたものかといろいろ考えた結果、「ないものは作るしかない」と自分で作ることにしました.下の写真が出来上がったコイルです.
計算上は130μHはあるはすです.(あくまではず・・・)この値でいいものやどうやらよらくわかりませんがだめなら作りなおせばいいのです.製作はいたって簡単です.
シャーシ
AMPを製作するうえでいつもめんどうなのがこのシャーシ加工です.
ことに今回のようにAMPにいろいろつけなくてはならないとなると一苦労です.
ケースはタカチのOS115-32-33、放熱器は2SK405、2SJ115の発熱を考慮してまた、2SK1056、2SJ160でのA級動作も試してみたかったのでちょっと高いですが大き目の吉川の60F155を2個使いました.
さてさてそこで問題なのはELNAは容量の割にとても背が高いのです.(10000μF)
一旦くみ上げてはいそれまでなら組付け方は色々あるのでしょうが今回は色々な実験をかねての製作です.
後でのメインテナンス性とタカチケースの構造を考慮して次のような構成にしました.
1.増幅回路は側板に配置し、独立して取り外し可能とする.
2.電源部はすべて底板に固定する.
3.背板にセレクター、バランサーを配しこれも取り外し可能とする.
4.フロントパネルと片方の側板にはなにもつけない.
以上の条件を満たそうとした結果、アルミのサブフレームやアングルを数個、作る羽目になりました.
殊にELNAの10000μFを底板に固定するとなると結構大変です.
縦にははいらないので横に寝かせて且つ底板に固定するとなるとこんな感じになります.
いろいろ作ったものです.
ろくな加工工具もないので結構大変でした.(使用した工具は電動ドリルとルーター、アクリルカッター、リーマのみです)
出来上がった増幅部(側板)
タカチのケースの構造上、側板と底板は電気的に確実に接続されているとは言い難いので底板にアースもとってあります.
POWER-MOSは銅板で挟んで取り付けてあります.モールドタイプの素子をシールドするにはよい方法です.
キャンタイプならこんな必要はないのですが・・・
放熱器のレイアウトはバクーンの製品を模倣させていただきました.
出来上がった背板
入力は3系統としました.セイデンのロータリースイッチの構造にあわせて入力ジャックは対角線でRLペアになるようにしてあります.
セレクターはホット、アースとも切換える方式です.
この方式ですと接続される機器との電位差から切換時にショックノイズが出ることがあります.
これを防ぐためにはアースを47KΩ位でシャーシに落とすとよいです.
私はノイズが出たら落とそうと思いこの段階では落としていません.
左側がセレクター、右側がバランサーです.
出来上がり
あとで簡単に分解できるようにした結果、コネクターや端子が多くなってしまいました.普通はここまで必要ないでしょう.
線材はシリコン線を使用しようとも思いましたが家に愛用のモガミやらアクロテックが結構残っていたのでそれを使いました.(回路の違いによる音の違いを知りたかったということもあります)
入力系はアクロテックの6N(0.5)で電源系はモガミの2516(1.25)です.シールド線は一切使用していません.
どうしてもシールド線を使用する場合は2芯を使用することをお勧めします.
線材は音質のチェックが終わったらテフロンに変更する予定です.線材の違いによる音の変化の度合が計れます.
電源ケーブルはオヤイデのLi-50です.
全景
フロントパネル左にあるビスは間違ってあけてしまった穴を隠すためのものです(^^;
やっと完成しました.
やっぱりケース加工が難儀でした.もうちょっと工具を揃えたほうがいいようです.
今回のような加工を容易に行おうとするとステップドリル等は必要でしょう.できればボール盤も欲しいところです.
あとはアイドリング電流とオフセットの0調整をすれば稼動OKです.
フロントパネルのお化粧は暇をみてしてあげようと思います.