2.ボリュームとバランサー

ボリューム



SATRI回路は出力に接続されるRと入力のRとで増幅率が決まります.(あたりまえか・・・)
出力側のRを可変にすることによって出力を制御します.
通常の増幅回路のボリュームは入力側にありますので微少な電流をコントロールしなければならず、また、VR位置を動かすことによって生ずるインピーダンス変動等、勘案しなければならない問題が多々あります.
究極的には固定抵抗を使用した定インピーダンスATTがベストたる所以です.
さてSATRIの場合はどうでしょう.
VRは出力側に接続され、且つ回路自体は出力インピーダンス極めて高い電流出力回路です.
ということは接続される負荷を正確に駆動してくれるのでVRによる音質の変化は通常の増幅回路ほどではないということもいえます.
そうはいってもやはり影響は皆無ではないので固定抵抗を使用したATTを製作することにしました.
通常、固定抵抗をシリーズで接続する分圧型ATTが一般的ですが、ここはSATRIの特性を生かして抵抗一本を切換て音量を調節する電流駆動型にしました.
但しこのVRはSATRI回路にしか使用できませんので念のため・・・
回路は次の通りいたって単純です.
 
抵抗値は以下の通りです.
この値が最適かどうか分かりませんがとりあえず作ってみることにします.
使用したのはセイデンのロータリースイッチです.SD32NEG、2段2回路22接点を23接点で使用しました.
予算に余裕のある方は4-4-23を使用したほうが楽に作れると思います.
見た目より製作は簡単です.ただハンダ付けする数が多い・・ですが.
抵抗はディールのCMFを使用しました.
アースを結ぶ方法は錫メッキ線で予め輪っかを作っておけば簡単にできます.
完成したVR
ちゃんと活躍してくれるでしょうか?

バランサー



最近のオーディオ機器にはめっきりバランス調整のできるものが減ってしまいました.
CDしかお聴きにならない方なら部屋の問題さえなければバランサーは不要だと思います.
しかしながら世の中には私みたいにLPを後生大事に聴いている人間もいます.そこで問題になるのがカートリッジのチャネル偏差です.
どんな高級なカートリッジにもチャネル偏差が皆無なものなどありません.まして、カートリッジのみならずアーム、ターンテーブル等、レコードを聴く際には音に影響するパラメーターがたくさんあります.
SATRI回路の特性を鑑みた場合、もっともよいのは左右のVRを別々にコントロールすることでしょう.
但し、この構成は実はかつて一度試みたことがあって結果は非常に使いずらいものでした.(そういった構成の製品もありますが・・・・)
また調整するStepがVRとBLでは異なるため整合をとるのが難しくなります.(VRのほうが大雑把)
で、今回は多少の音質劣化には目をつむって入力にバランサーを挿入することにしました.
ただMN型のバランサーを挿入したのでは面白くありませんし又、バランサーを動かすことで総音量が変わってしまってまたVRを調整するということになってしまいます.
ここは一つ、昔懐かしい釣瓶式のバランサーを製作することにします.
MJで土屋先生がいつだか発表されたのとほぼ同じものだと思います.(本が手元にないのでよくわかりません)
チャネル偏差の補正はせいぜい3dBもあれば充分です.ま、きりのいいところで4dBを調整範囲としてバランサーの挿入損を2dBとして設計することにしました.STEPは1dBで全部で9STEPあればよいです.
これに見合うロータリースイッチをあちこち探しましたが大きすぎたり小さすぎたりでなかなかちょうどいいのがありません
セイデンであればよいのですが三栄さんに問い合わせたところ小型のものではないとのことでした.
やっと鈴喜デンキで岩崎の11接点をみつけました.
2接点あまってしまうので左右単独0dB再生ポジションを設けました.負荷は25KΩです.
回路は次の通りです.
使用した抵抗値は以下の通りです.
これで総音量を変えることなく左右のバランス調整が1dBステップで調整できるはずです.
完成したバランサー
 
使用した抵抗はディールのCMFです.