アンプ
アンプは、バクーン・プロダクツのAMP-5512KというSATRI回路とオールOS-CONの使用が特徴なセレクタ、ボリューム付きのパワーアンプです。
試聴屋さんオリジナルのDALE製金属皮膜抵抗を使ったアッテネータ仕様です。試聴屋さんに特別にお願いして標準のものよりも初期ゲインと変化率を小さくしたものにしてあります。
これは私の環境の場合、標準のアッテネータだと使用位置がほとんど8時以前であり、細かい調整が不便なためです。写真でも御分かりのとおり、それでも通常使用でのアッテネータ位置は2(時計位置9時)です。
当初、30W+30W(4Ω)という出力に不安を持ったのですが、ボリューム位置12時だと近所への音漏れを気にしなければならない程の音量になり、極端な低能率なスピーカーを使用しなければ、一般的な家庭での使用では十分と思われます。
SATRIアンプの良いところは、このような小音量(実際に出てくる音は小音量ではない)でもゲインそのものを小さくするためボリュームを絞ってもS/N比の劣化がないことです。特に夜間や能率の良いスピーカーを使われている方には有効です。
また、SATRI-LINKという独特な電流入力を持っており、バッファ段を介さず直接SATRI-ICの入力に接続することが可能です。残念なことに一般的な機器との接続には使用できませんが、DAC-2000などのSATRI-LINK出力を持った機器では高品質な伝送が実現可能です。
型番の末尾のKからもお判りのように、このアンプはキットバージョンです。
天蓋を開けてまず目を引くのは、有機半導体で有名なサンヨーの超低インピーダンスコンデンサOS-CONが40個(1,000μF/16V)も使われた整流部です。
作りっぱなしでも十分に良い音なのですが、キットの利点を生かしていろいろと試行錯誤をしたため、オリジナルと異なってしまった箇所がいくつかあります。
まず、通常の使用では全く問題ないのですが、ゲインを最大にした時の高域にジリジリとしたノイズ音が気になったので、整流ダイオードをファーストリカバリ(400V
25A)タイプに換えてあります。
また1.5mm厚銅板を使用してアッテネータを含むアンプ部とトランスなどの電源部を隔てています。
OS-CONの整流コンデンサユニットはこの銅板のアンプ部側に取り付けてあります。実はこの形になるまで4回ほど試行錯誤していますが、今の形が一番収まりが良いようです。
トランスは2mm厚銅板に防振ゴムを挟んで取り付け、後述のコンデンサ・ブロックと共にアルミシャーシから浮かせています。
また試行錯誤の末、現在Black Gateの4,700μF/35V 4本を追加コンデンサブロックとして1.5mm厚銅板に取り付け、ファーストリカバリ・ダイオードとOS-CONの整流コンデンサブロックとの間に追加して容量を5,000μFから14,400μFに増やしています。
本当は、オールOS-CONで容量増加したかったのですが、予算の都合でこうなってしまいました。以前は、Panasonic
X-Pro 10,000μF /50Vやフェライトコイルなども使ってみましたが、オールOS-CONの音とかなり異なる音になり、今の形に落ち着いた次第です。
ということで、オールOS-CONではなくなってしまいました(永井さんゴメンナサイ)。余裕が出来たら是非オールOS-CONで容量を増やしてみたいと思います。
固定抵抗式のアッテネータはDALE製の金属皮膜抵抗ですが、使う頻度の高い一個所だけは同じDALE製の巻線抵抗に換えています。
本当は使用頻度の高い所は、一つおきに巻線抵抗に換えたかったのですが、巻線抵抗はサイズが大きく、付けるのが大変で一個所になってしまいました(実は巻線抵抗自体は既に購入済みなので機会を見て再チャレンジする予定)。
音質は、金属皮膜に比べて滑らかですがメリハリ感は劣るようです。喩えれば巻線はシルク、金属皮膜はコットンという感じて、良否ではなく好みの範疇だと思います。セレクタ用のロータリースイッチも信号が直接通る所なので、ちょっと奢って東京光音電波製のものに変更してあります。
信号系の配線材はオリジナルからテフロン皮膜の1mm銀メッキ銅単線や0.5mm銀単線を経て、現在は古河電工のPCOCC
2芯シールド線の2芯のみを使用しています。
電源系の配線材は、オリジナルからベルデンの16GAGE(1.3mm)の錫メッキOFC線(元々はスピーカーケーブル/300VAなので使用にあたっては注意が必要)の撚りが気に入って使用しています。スピーカー端子までは、オリジナルからテフロン皮膜の2mm銀メッキ銅単線を経て、モニターPCのCobra
2.5S(銀メッキ極細OFC超多芯2.5mm)を使っています。(何か凄く極端のような ^^;)
現在は一段落して落ち着いていますが、いろいろと試行錯誤できるのがキットの楽しいところ?でしょうか。
作って楽しんで、聴いて楽しんで、いじって楽しむという一粒で3度美味しいという楽しい世界に貴方もどうですか?でも、メーカー側としては、いじって欲しくはないのだろうな?
(試聴屋:そんなことはありません。)
電源ケーブルは、キャメロット・テクノロジーのPower Master 600を使用しています。
音質は、私好みの透明感に優れ音場の広い音がします。メーカーでは蒸留水に喩えているようですが、私の言うところの透明感がこれに相当するのかも知れません。
また、これが一番大事なのですが、スピーカーとの相性も非常に良い感じがします。
スピーカーの特徴と相まって、刺激がなく、かつ非常に鮮度と解像度の高い音がします。AMP-5512Kを導入してから、以前購入したCDを全て聴き直したい衝動に駆られました。さすがに全てのCDを聴き直すのは無理なので、お気に入りのCDのほんどんどを聴き直して、以前気付かなかった音に改めて気付いた次第です。
「こんな音が録音されていたのだ」とか「演奏は良いのだが録音は今一つ」と思っていたCDが実は結構良い録音だっとということが判ったりしました。
実は、以前お気に入りだったCDが、あるアンプに変更してからつまらない音になってしまいガッカリしていたのですが、AMP-5512Kに換えてから再び、お気に入りにカムバックして安堵しています。
スピーカーの重要性が多く語られますが、アンプでも音が変わる(当たり前ですが)重要性を再認識した次第です。
仕様
出力 |
8Ω負荷:20W+20W(STEREO)、58W(BTL) |
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4Ω負荷:30W+30W(STEREO)、60W(BTL) |
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2Ω負荷:38W+38W(STEREO) |
入力 |
RCA電圧入力 x 3(100KΩ) |
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BNC電流入力(SATRI-LINK) x 2(2mA) |
ゲイン |
-32dB〜28dB
(試聴屋オリジナル固定抵抗式アッテネータによる可変ゲイン) |
外形寸法 |
330(幅) x 12(高さ
x 360(奥行)mm
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重量 |
約12Kg(改造後) |
CDプレーヤー
CDプレーヤーは既に3年近く使っているソニー製のCDP-XA50ESというものです。
特徴は、光学式ピックアップ部が動くのではなく、回転部全体が動くという固定式ピックアップ方式でしょうか。アナログレコードのようにスタビライザーを載せてCDをセットするのは、私にとってはCDを聴くにあたって非常に楽しい儀式です。
D/Aコンバータ部は1ビット方式で、デジタルフィルターの種類が複数選択可能です。また、重量が15Kgもあるので移動には結構苦労します。
音質は、これといった特徴のない素直な音です。購入時に比較したデンオン製は高音域に華やかさを感じさせ、一聴するとエネルギー感もメリハリもあるのですが、長時間聴いていると疲れそうな感じがすることと、何か音創りを感じて、一聴すると地味な感じのするこちらを選びました。
トラブルも大きな不満もなく使用してきましたが、D/Aコンバータの導入を期にトランスポートの購入を検討し始めています。
D/Aコンバータ
D/Aコンバータは最も最近購入したもので、アンプと同じバクーン・プロダクツ製のDAC-2000Kです。
これも型番の末尾のKが示す通りキットモデルです。
特徴は、やはりSATRI回路とオールOS-CONの使用でしょうか。SATRI-ICは、バー・ブラウン製の24ビット96KHz対応のPCM-1704UからのI/V変換部に使用されている様です。また、電圧出力の他に電流出力(SATRI-LINK)も持っており、AMP-5512などSATRI-LINKを持つ機器間との電流電送も可能になっています。
入力は2系統あるので、CDプレーヤーとBSチューナーからのデジタル出力をそれぞれ接続しています。ただし、同軸入力のみなので光出力しか持たない機器との接続には、市販の変換機などが必要となります。
デザイン的にもAMP-5512とベストマッチングとなっており、2台並べるととても格好良いです。実質50mmという厚さには、Rコア・トランスが多大な貢献をしているようです。
これも、キットの利点を生かし、電磁波ノイズ対策を中心に少し手を加えてあります。
具体的には3mm厚アルミ板、1mm厚銅板、フェライト板などを使用してのシールド追加、ノイズフィルター付き3Pインレットへの変更、電源系の配線を中心にフェライトコア・クランプを10個所以上装着しました。
また、一枚の基板にデジタル回路とアナログ回路が明確に隔たれて実装されているので、デジタル部とアナログ部の間に3mm厚アルミアングルで衝立てを作り隔てています。少しは効果があるかも知れません。
この上で、デジタル部の上部はアルミ板、アナログ部の上部は銅板で覆っています。整流用コンデンサと3端子レギュレータが実装された基板は独立しているので、アナログ部との間をアルミアングルで隔てています。
電源トランスと表示用LED部はアルミ板で全体を覆っています。
素人対策なので効果は若干の改善に留まりましたが、重量だけは確実に重くなりました。:−)
電圧出力と電流出力(SATRI-LINK)の出力切り換えスイッチは、オリジナルでは背面にあるのですが、頻繁に切り換えるため(本来は一度決めたらあまり切り換えないで使用すると思いますが)、入力切り替えスイッチをセイデンの2回路6接点のロータリースイッチに換え、前面で出力切り換えも同時に可能にしました。
電源ケーブルは、オルトフォンの7N・PSC3.5HGを使用しています。
音質は、CDプレーヤー本体のDAC部と比較すると一段と地味な音がします。一聴しただけだと、もしかしたらつまらない音に感じてしまうかもしれません。しかし、聴き込んで行くと解像度が高く、すごく自然で刺激感がありません。たまに、CDプレーヤー側のDACで聴くことがありますが、高音域がきらびやかに感じます。
DAC-2000には、SATRI-LINKがついているので、AMP-5512とSATRI-LINK接続にして聴いてみると、幾分穏やかな印象を受けますが、大きな音質上の違いは感じられませんでした。一番の違いは出力レベルで、SATRI-LINK接続の方が約3dBほどゲインが小さくなるようです。
私の場合、あまり違いが感じられないので、日中は電圧出力、夜間はSATRI-LINKという感じで使い分けていますが、どちらかというと電圧出力のシャープな感じが好みです。
DAC-2000は、96KHzのハイサンプリングにも対応しているので、是非聴いてみたいと思いますが、プレーヤーがないのとメディアも少なそうなので、個人的にはDVDオーディオよりもSACDに興味があります。
^^;
仕様
サンプリング周波数 |
32、44.1、48、96KHz |
出力 |
RCA電圧出力(2Vrms/0dB) |
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BNC電流出力(SATRI-LINK) x 1 (2mA/0dB) |
入力 |
RCA同軸 x 2 (75Ω) |
周波数特性 |
20〜50KHz(-3dB) |
入出力切り替え |
入力:COAX1/COAX2、出力:VOLTAGE/SATRI-LINK |
表示 |
サンプリング周波数表示:セグメント赤色LED数字表示 |
|
入力表示:COAX1、COAX2、DEEMPHASIS、MUTE |
|
出謡ヘ表示:VOLTAGE(電圧出力)、SATRI-LINK(電流出力) |
外形寸法 |
330(幅) x 70(高さ) x 392(奥行)mm |
重量 |
約7Kg(改造後) |
※オリジナル製品の出力は背面スイッチにて切り替え
その他
以前、St.GIGAのエアチェックや、ポータブル用やカーステレオ用のMD作成用に使用していたMDデッキとしてソニー製のMDS-JA3ESがあります。確かソニーで最初の本格的据え置き型MDデッキだったと思います。
DAC-2000導入前はD/Aコンバータとしても使用していましたが、現在はあまり使用していません。
AMP-5512K以前のアンプとしてサンスイ製のAU-α707MRを2年程使用していました。特に大きな不満はなく、良く出来たアンプだと思います。しかし、一度AMP-5512Kを聴いてしまうと二度と戻れなくなってしまうから不思議です。
大変まじめにまた、凝って作られています。一度、天板を開けて中を見たことがあるのですが、コンデンサ間にはブチルゴムを挟んであったり、トランスとベースとなる銅板間にもブチルゴムの他にテフロンシートが挟んであったり、側版や天板、放熱板もブチルゴムとテフロンシートが貼ってあり徹底して防振対策が行われており、大変参考になりました。
ラックは、若月製作所のGXシリーズ(GX-1100+GX-1150)を使用しています。トータル62Kgという重量のあるもので大型機器も楽に入り重宝します。本来はリジットに設置するのが良いのでしょうが、機器のメンテナンスのやり易さを考えてキャスターを付けています。
大変良いラックだと思いますが、大型で場所を取ることと、現在メイン機器であるバクーン・プロダクツの製品は小型で粋なデザインなので、ちょっと武骨すぎるかなと感じています。
デザイン的には、英国はターゲット・オーディオ製のLRX-5というスモークガラスを使用したラックが良いかなと考えています。
この他に、アナログレコードも聴けるクラシックがメインのサブ・システムがあります。
Audio System 18/March/2000