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エージング

 買ったばかりの機器は、鳴らし込み=エージングをするのが普通です。

 買ってすぐの機器は、パーツが新品の状態ですので電気的・熱的にこなれていない状態になっています。電気的には、新品の状態でもエージングが終わった状態でも測定上の違いはほとんどありません。ところが、人間の耳にははっきりとその違いがわかります。はじめは低音が出ないように聞こえても測定するとちゃんと出ています。低音が出ている/出ていないと感じる人間の感性までは測定できないようです。

 エージングに必要な時間はどれくらいかですが、機器によって違うとしか言えません。短いもので数日、長いと数年かかります。いずれの場合も、新品の状態から数時間の間が最も大きく変化します。その後、緩やかに変わって行くか、そこでほとんど落ち着いて
しまうかの違いがあります。

 SATRI製品で使用しているOS-CONは約100時間ですが、これはとりあえず最初の段階で大きく変わるのが収まる時間です。実際には1〜3ヶ月はかかると考えて下さい。SATRIアンプやテフロンケーブルも1週間程度で第一段階が終わり、その後3ヶ月くらいの間、緩やかに変化します。最も長いのはホーンドライバーを使ったスピーカーで、新品の状態から最低3年はかかります。ホーンシステムで良く誤解されるのは、新しいシステムの音を聴いて、きつい音でダメだと思ってしまうことです。

 このような事情があるため、オーディオシステムの評価は簡単にはできません。オーディオ雑誌に書かれる評価記事が現実の音をなかなか反映したものにならないのは、充分なエージングをしない新品の状態で記事を書くせいも多少あります。もっとも、数ヶ月も経ってから記事にしたのでは商売にならないのでしかたがないのかも知れません。

 オーディオマニアの皆さんは、新品を購入しても最初に出た音だけで判断せず、音の変化を楽しみながらじっくり鳴らし込んでいただき、機器本来の音を引き出していただきたいと思います。