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抵抗比較実験 No.2

I/V変換抵抗 比較試聴 Part2 同族比較


はじめに

 おまたせいたしました。(誰も待ってないって)

 始めに 第1回の抵抗比較試聴を試聴屋さんのホームページに乗せて頂いたところ いいかげんな評価結果であるにもかかわらずけっこう反響がありました。 中には、遠く台湾からの問い合わせなどもあったりしてびっくりしてます。

 その後 自分でも面白そうな抵抗買い足しましたし、人から評価してくれと貰った抵抗も多数有り第2部をやらねば収集が付かなくなってきました。

 しかしながら、評価の要「おでかけDAC」が相次ぐ改造のストレスが溜まってかノイズを撒き散らす大不調のため 作業は半年間停滞していました。

 何とかストレスを取り除いて完調になった「おでかけDAC」で抵抗比較試聴を行おうとしましたが、準備しているだけで 抵抗が35種、控えているのが5種ととんでもない種類数です。

 第1回で 評価する数を増やすと何を評価しているか判らなくなることを痛切に感じましたので 複数回に分けて評価します。

 とりあえず第2回は、W数の違うもの、改造した抵抗等似た者同士で音の変化を探ってみたいと思います。



 1.評価したシステムなど
 2.おでかけDACに関して
 3.評価した抵抗
 4.試聴ソースに関して
 5.評価順序
 6.評価結果
 7.総評

1.評価したシステムなど

 近藤が普段から使用しているシステムを使いました。
 第1回とかなり構成が異なります。だいたい1ヶ月ペースで何か変るのがウチのシステムの常で99年12月現在の構成です。

トランスポート 自作 Creative Lab infra6000 改
DAC 自作 おでかけDAC
ラインアンプ 自作 抵抗切り変えATT + OPAMP チョークインプット電源<
パワーアンプ 自作 パワーIC使用 電流出力アンプ
SP 自作 DIATONE P610-MB 半球バッフル(宙吊り)


 こんなかんじです。

 入口から出口まで全て自作品という実に一般的でないシステムです。

 この変なトランスポートとDACの組み合わせで所有している往年の銘機 Marantz CD-95は足元にも及びません。市販の40〜50万円程度のCDプレーヤの音は超えていると自負しています。

 抵抗切り変えATTは、DALE CMF 2本を通過しますが この色付けが残ります。電流帰還OPAMP AD811にて3m長のインターコネクトケーブルをドライブします。帰還抵抗もDALE CMFです。

 パワーアンプはパワーICを使用した電流出力アンプで 本家の大沢さんが作成した電流アンプと鳴き合わせをやったことがありますが、でティールの表現を始めかなわないものの傾向はかなり似ていることを確認しました。

 DIATONE P610にターゲットを絞って調整してありますが、チューニングの途中で、現在の所進RE55+VEMを使用しています。(将来的には巻線抵抗に変更)アンプはバッフル裏面に設置してありスピーカ〜アンプ間は10cmです。電源は1KWのR-Coreトランスと大春さんが使用している nichicon NX を使用して巨大な電源となっています。

 P610というスピーカは電流アンプで鳴らしてこそ真価が発揮出来ると悟ってます。ただのバッフルにマウントしただけですが、低音不足も高音不足も感じません。

 このシステムをP610のオーナーに聞かせると 例外なくビックリし、ここまで鳴るスピーカだったとは知らなかったと言います。

 傾向としては、とにかく打楽器のスピード感はピカイチ、ややドンシャリ系ながらリアルな音質だが、大編成モノは分解能がついていかない感じです。

 今のところ、普及帯の市販品は足元にも寄せつけないレベルと自負していますが、まともな市販アンプ、スピーカのオーナーになったことが無いので、ただの自惚れです。

 事実、この後の改良で著しく音質が向上し、評価が変ってしまうことを痛切に感じました。これは結論に書きます。

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2.おでかけDACに関して

 詳細は第1回を参考にしてください。第1回に比べて80%近くの基板と電源部をリプレースして全く別物になりました。

 構成は基本的に

 ・[CS8412 + 2nd PLL → ノンシンクロ・リクロック → TDA1541A → 電流LPF → SATRI IC → I/V 抵抗]

 ・各石独立 17電源

 というかなり凝ったデジタルフィルタレス、ノンオーバーサンプリング構成になっています。第1回当時より、かなりしっかりした音に変化しています。

 I/V変換抵抗を5pinコネクタで刺し換え可能にしましてありますので下記の抵抗を差し換えて評価しました。

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3.評価した抵抗

 第1回の抵抗比較試聴で、金皮、カーボン、巻線等で良く似た傾向があることとその中でも個性が大きいことが解りました。

 そこでこの個性とは何に起因するのかを調べるため良く似たものを聴き比べることにしました。

 例えば、同じDALEの巻線でも2Wのものと5Wのものを比べたり、スケルトン抵抗では何らかの制振対策が効きそうなため改造の方法を変えて聞き比べてみました。全て1KΩです。

 以下、評価に使用した抵抗の写真とデータです。

 トータル13種!何と第1回と同じになりましたが、聞き方を似たもの同士を同じカテゴリ内で比較する方法に変えました。以下に各カテゴリと抵抗の詳細を列挙します。

カテゴリ1 Panasonic 酸金

No
写真
メーカー
型式
種別
W数
価格
購入店
エージング
1
Panasonic
?
酸金
1W
?数十円
もらいもの
2
Panasonic
?
酸金
2W
?数十円
もらいもの
3
Panasonic
?
酸金
3W
?数十円
もらいもの

 これは どこにでも売っているPanasonicの酸金抵抗で音響用と銘を打っている訳ではありません。ここでは、ワット数の違い...熱容量、大きさの違いによる振動モードの違いに着目します。一般にワット数が大きい抵抗ほど音が良いと言われていますが本当でしょうか?


カテゴリ2 東京光音 カーボン
No
写真
メーカー
型式
種別
W数
価格
購入店
エージング
4
東京光音
?
カーボン
1/4W
\200
三栄無線
5
東京光音
?
カーボン
1/2W
\200くらい?
三栄無線

 これもカテゴリ1と同様にワット数の違いを聴くものです。
 理研のRMGでもいいのですが、個人的に癖が強すぎて使う気になりませんので素直な東京光音カーボンとしました。

カテゴリ3 DALE 巻線
No
写真
メーカー
型式
種別
W数
価格
購入店
エージング
6
DALE
NS-2B
巻線
2W
\460
海神無線
7
DALE
NS-5B
巻線
5W
\560くらい?
海神無線

 これもワット数比較です。
 DALEの巻線抵抗は第1回で非常に評価が高かったので5WのNS-5Bには期待しています。

 なお、NS-2Bは音が気に入っているためよく使いかなりエージングが進んでいますが、NS-5Bは後から買ったためエージング期間は短くなりました。

カテゴリ4 進(ススム)プレート抵抗系
No
写真
メーカー
型式
種別
W数
価格
購入店
エージング
補足
8
進工業
RE55
プレート
1/2W
\40
テクニカルサンヨー
 
9
 
ニッコーム
プレート
1/2W
\40
若松通商
 
10
進工業
RE55
+VEM
プレート
1/2W
\40+α
テクニカルサンヨー
制振材VEM貼付
エージング


 進工業RE55は、金皮系抵抗の中でやや曇った繊細性に欠けるものの、わりと素直で悪くなく安価なことから貧乏自作人の味方ですが、製造中止になって市場在庫を漁るだけになってしまいました。

 このような状況で、ある方から「若松で売っているRE55の後釜のニッコームは同じものか?」という問い合わせが来ていたためオリジナルRE55 vs ニッコームを比べました。

 また、ユニウェーブ関西メンバの通称「教祖様」の強烈なプッシュでVEMという制振材を貼り付けたものを作って比べました。



 VEMとは、ビスコ・エラスティック・マテリアルという下を噛みそうな名前で東急ハンズのソルボセインの隣で売っている制振材でA4サイズで\980と安価です。

 見かけは両面テープの貼ってあるアルミ板です。両面テープにあたる素材がVEMだそうで粘性で不要振動を熱に換えるそうで貼り付けて叩くとにぶい音になります。これを進プレート抵抗と同じサイズに切り両側から貼り付けたものがNo.10で、誰でも簡単に作れます。こんなもん利く訳ないやろとタカをくくっていましたが...


カテゴリ5 スケルトン系
No
写真
メーカー
型式
種別
W数
価格
購入店
エージング
11
福島双葉
スケルトン
酸金
2W
\250+α
テクニカルサンヨー
制振材VEM貼り付け
12
福島双葉
スケルトン
酸金
2W
\250+α
テクニカルサンヨー
絹糸+トライガード
13
福島双葉
スケルトン
酸金
2W
\250+α
テクニカルサンヨー
絹糸+エポキシ固め

 この4種は、オリジナルの抵抗を改造しています。オリジナルが無いのは手持ちを使ってしまったからです(^ ^;;。

  福島双葉の被覆していない酸金抵抗のスケルトン(金田アンプ御用達)ですが、皮剥きがたいへんですが被覆がないのでいろいろ遊べます。

 RE55と同じく教祖様より「テクニカルで売っている絹巻きスケルトンは本当にいいのか?試せ」と聞かれて自分で似たモノを3種こさえてみました。

 一つはVEMで巻いたNo.11で 金属キャップ間をVEMでショートすると不味いので若干小さめに抵抗体を巻きました。

 No.12はテクニカル製を真似てみました。濡らした絹糸で抵抗体をキリキリに巻いて乾燥させトライガードで海苔巻きにしました。

 ことわっておきますが、これはテクニカル製ではありません。納期がかかるので今回は間に合いませんでした。

 No.13はNo.12と同じくキリキリに絹糸で巻いた上にアラルダイドを塗ってドライアで熱風を吹き替えながらカチカチに固めたもので、造るのにすごい手間がかかりました。

 なお、各抵抗はそれぞてエージング時間がちがいますので表に、短、中、長とだいたいの感触を書いておきました。

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4.試聴ソースに関して

  第1回と同じようなソースですがジャズ系を変えました。

Vocal :ケイコ・リー ビューティフル・ラブ CBS SONY SRCS8363 97年録音
     より #1 ビューテイフル・ラブ (ボーカル・ソロ )

  1. JAZZ :The LA4  亡き王女のためのパヴァーヌ EAST WIND PHCE2043 77年録音より #1 亡き王女のためのパヴァーヌ (サックス、ギター、ドラム、ベース)

  2. Violin:潮田 益子 イザイ バイオリン・ソナタ op27 fontec FOCD3284 97年録音
    より #4 (バイオリン・ソロ )
 前回と変えたLA4のアルバムですが、70年代のダイレクトカッティングの名盤の復刻で非常に鮮度の良い音です。特に冒頭のパーカションのシャララ...の鳴り方で 抵抗のレベルが判ってしまいます。

 他、Keiko Leeのボーカル、潮田 益子のバイオリン・ソロは第1回と同じです。

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5.評価順序

 今回は、カテゴリ中での差異に注目して聞く事にしました。

 カテゴリ内で順序を決め Vocal (Keiko Lee)を抵抗を交換して聴き、次に 同じ順番で抵抗を交換しJazz( LA4)を聴き、最後に同様にViorin(潮田益子)を聞きました。

 従って カテゴリ内で最初に聞いた一番手の抵抗がリファレンスとなり、二番手の抵抗は1番手に比べてどうか?、三番手は?という感じの聴き方になっています。

 また、3種類聴き終わってカテゴリ内の相対評価とカテゴリの傾向に関してまとめることにしました。

 カテゴリ内の順序は下記の結果を参考にしてください。



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6.評価結果

・Panasonic酸金

 これはワット数、大きさが音にどのように現れるかに注目しました。
 まず、中間の2Wをリファレンスとして聴き→1W→3Wの順で聞きました。

 
W数
Vocal
Jazz
Violin
Panasonic 酸金
2
息がすぐに切れる感じ余韻が少ない、ディテールが出ない やや硬質、響きが少ない 弦に潤いがない、乾いた弦という感じ
あまり変わらないが、やや細身の感じ 響きは出てくる、高音がきれい
フルートが粉っぽい
2Wよりは弦に潤いがあるが、リアルっぽくない
3
1W→3Wの順番で聴くと3Wの方がディテールが少し出てくるのがわかる。余韻が伸びる 1Wよりリアルっぽい音、余韻が出てくる 1Wより落ちついているがエネルギがやや低域よりか?

 カテゴリ内

     3W>1W>2W の順
     1Wは、高域がきれいだが作り物っぽい感じ、3Wは安定して聞ける
     バイオリンソロの違いが大きかった。
 抵抗の傾向
    Panasonic 酸金抵抗は 全体にディティールが不足しており ベタッとした音 抵抗のランキングとして低いと言わざるを得ない。

・東京光音 カーボン皮膜

 これもワット数、大きさが音にどのように現れるかに注目した。
 1/2W→1/4Wの順で聞いた。


 
W数
Vocal
Jazz
Violin
東京高音 カーボン
1/4
1/2Wより騒がしい、高域はきれいな気がするが付帯音っぽい フルートとギターは良好だが、高域にくせ 雰囲気音はPanasonicより上、艶が不足している あまりリアルっぽくない
非常に素直だが、リアルっぽさに欠ける 1/4Wよりパーカッションがリアルっぽい、バランスが良好 1/4Wより安定している ディティールも出ている

 カテゴリ内
    1/2W > 1/4W
    1/4Wと1/2Wの差がPanaより開いている。
    1/4の高域くせ、付帯音の多さが目立つがこれが良好なこともある。
 抵抗の傾向
    Panasonicよりかなり良好
    非常に癖が少なく良好だが、繊細感に欠ける。

・DALE 巻線抵抗

 これもW数、大きさが音にどのように現れるかに注目した。
 2W→5Wの順で聞いた。

 
W数
Vocal
Jazz
Violin
DALE NS-2B
2
リアルっぽい 良好 ディティールの表現が出ている やはり巻き線、東京光音とは格が違う。パーカションも弦も非常にリアル 弦のリアルっぽさが前2種とは大違い 良好
DALE NS-5B
5
2Bより静かだが、ディティールの表現に欠ける。余韻の表現が行っていない 2Bよりもふっきれてない音、ややどっしり系 リアルさが2Bに劣るエージング不足か? 2Bより静か、エネルギが低域より 2Bの方が聞いていて楽しい

 カテゴリ内
    2W > 5W
    2Bの方がエージング効果が出ているような音 細かい音に対する反応が良好
    5Bは静かだが反応が若干悪い、結果として2Bの方が良好だが5Bのエージング不足は明らかで 対等の比較ではない。
    5Bのエージングが完了した時点で再評価が必要

 抵抗の傾向
    リアルっぽさは非常に良い。
    ややうるさいもののディテール繊細感の良さは一級品

・進工業 RE55族 プレート抵抗

 これは似た者どおしの対決。ポストRE55のニッコームは如何に?
 改造すればRE55が良くなるのか?
 RE55 → ニッコーム → RE55改造の順で聞いた。

 
W数
Vocal
Jazz
Violin
RE55 オリジナル
1/2
素直だが、DALEに比べてディテールの表現に欠ける 悪くない、ちょっとがさがさしているんものの素直な感じ やや眠たい表現、リアルっぽさはそこそこ出ている。
ニッコーム
1/2
曇った表現のものの、ディテールの表現はRE55より良い RE55よりも軽い音の出方、ややくせのなるものの良好 これはRE55より劣る、眠くないがベールを半枚かぶったように感じる
RE55+VEM
1/2
前2者より 音像が奥に聞こえる、巻き線ほどではないもののディティールの表現は良好 ディテールの表現が良好、バランスも良好 産毛のような表現はできないものの、弦っぽさは一番出ている

 カテゴリ内
    RE55VEM>ニッコーム>RE55
    RE55はエージング不足っぽい表現、ノッコームのほうがディテールに優れる。
    しかし、バランス、ディテール、音像のでき方においてRE55+VEMが優れる。
    制振材貼り付けただけで こうも変わるものか?

 抵抗の傾向
    DALEの後で聞いたので落差は大きかったが、金皮族にしては癖が少ない方。金皮特有の曇ったような表現が残るが、VEM貼り付けはかなり軽減されている。
・スケルトン族 裸酸金抵抗

 改造同志の対決、オリジナルがエントリされてないが これは手持ちを全部改造してしまったため。ちなみに、オリジナルとVEM巻きはほとんど変らないので VEM巻きをオリジナルと見てもらってかまわない。VEM巻き → 絹+トライガード(TG)巻き → 絹巻+エポキシ固め の順で聞いた。

 
W数
Vocal
Jazz
Violin
VEM巻き
2
金皮より良好リアルっぽい ややおとなしい表現 ノーマルにあったような雑な感じが軽減されているか? 金皮に見られる曇り感はない、RE55属よりリアル
絹+トライガード巻き
2
ややリアルっぽさが向上し、静か方向に 弦とパーカッションの表現がリアルになった 情報量が多い感じがするが、本質的にはそれほど変化ない。ディテールやや良好。
絹巻+エポキシ固
2
ディテールが向上し、より静かに、舌の動き等がわかる ディテールの表現はトライガードに軍配か?しっかり感が増す。 消え入るような表現がよくなるが、本質的にかわらん

 カテゴリ内
    エポキシ>トライガード>VEM
    VEMとトライガードは大差、トライガードとエポキシは僅差
    本質的に3者は変わらないが、ディテールの表現とバランス、静かさが変化
    個人的にはエポキシ固めのリアルな音場が気に入ったが改造する苦労は大変
 抵抗の傾向
    オリジナルに感じられる癖が薄まっている
    ディテールもそこそこ有り、リアルっぽさが改造抵抗では上がっていて 人件費を無視するとCPは高い
    ただ、改造に伴う手間と品質の維持を考えるとたくさん使う気にならないかなぁ?

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7.総評

 今回は、評価の趣旨より順位付けはやりませんでした。
 また、以下にある問題提起にあるように、結論を下すには十分な評価ができていないため 評価体制を改めて再評価します。


◎エージングが完了しないと評価してはいけない

 いきなり否定的な見解ですが、今回の評価は評価者の日頃の好みによって抵抗の銘柄間でかなりエージング時間に違いが出ました。

 エージングが済んで無いと柔らかい表現がダメです。

 似た者同志対決で 前回ほどの抵抗間の格差が無かったこともありエージング条件がモロに結果に反映していたように思います。

 そういう意味で 今回の最大の成果はパーツの比較を厳密にするには、エージングが完了したものを使わないと間違った評価をしてしまうことが判ったことです。

 課題は判ったのですが、難しいのは、エージング完了をどう判断するかです。

 個々の抵抗に付いて素材も違えば、絶縁材も構造材も違うので 同じ時間をかけてもイコールコンディションになりません。

 しかしながらエージングにヤリすぎというものはなさそうなので、次回はエージング治具を作成し、全て最低100時間程度、イコール条件でエージングをした後に比較したいと思います。


◎抵抗体の被覆部分が音に与える影響は大きい

 この比較に用いた抵抗は、ピークで2mAも流れない微々たる電流が通過し、電力も大したものではありません。熱や電磁力による振動も発生するでしょうが微々たるものです。

 しかしながら、ワット数が変わっても音が変化しましたし、改造した抵抗ではさらに大きく音が変化しました。

 定量的な測定手段を持たないので推測の域を出ませんが、抵抗の被覆を含めた振動モードが音質に与える影響は小さく無いことが予想されます。

 他にも、電磁誘導や外来ノイズの影響も考えられます。

 解析するには、被覆の部分に水準を振ってみることや 振動を拾って解析する事などいろいろ考え中です。


◎官能評価はシステムのグレードに依存する

 実は、この評価を行った後に、電流アンプの電源、構成パーツのグレードアップ、接続ケーブルのグレードアップ、送り出しアンプの全点半田やりなおし、スピーカーへのデッドマス追加等の処置をして著しくS/N、ディティールの表現の向上が得られました。

 この改良を終えた後で聴くと印象が違います。特にS/Nの向上によるディテールの再現性に関しては確実に評価が変わります。

 相対的な差異であれば、何とかなると踏んでましたが、特に今回のような似た傾向のものを比較するためディテールが聞きにくいシステムだと全身を耳にして聴くしんどさがあり、精神面と肉体面が疲労するので評価順序により評価が変りやすいことを痛切に感じました。

 システムが向上すると構えなくても聞こえます。(逆にアラが見え易くなった)

 と言う訳で、今回の評価の結果は保留としてエージング&システムのブラッシュアップを図ってリベンジマッチをやります。


今後の予定

 結論にも書きましたが、とりあえず今回のリベンジマッチです。

 それ以降は、カテゴリをカーボン、金皮、酸金、巻線と種類別に分けて数回のシリーズで結果を公開するつもりです。

 総計40種類くらいになる予定です。お待ちください。

 なお、ささやかな目標はポストYAMを見つけることです。まだあれ以上の抵抗は見つかりません。

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