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パワーアンプ用ダイオード比較試聴
SEMIKRON and GBPC2504
by ユニウェーブ関西 近藤

はじめに

 私の使用しているパワーアンプは、パワーICを使用した、帰還ループにスピーカの入った帰還形電流アンプです。ラジオ技術誌で大沢さんがカレントミラーひっくり返し型電流アンプを発表して以来、何かと電流アンプが話題になっていますが、私のアンプは大沢さんと異なったアプローチでこさえたものです。

 電流アンプは、その特性上 信号立ち上がり時にボイスコイルのL成分に逆らって電流をスピーカに強制的に送り込もうとしますので 送り込むための電源の瞬時電流供給能力がかなり重要なファクターを占めます。

 私のアンプでも過去に電解コンを一般高耐圧品からアーク溶接用の耐リップル性能の優れた Nichicon NX(俗に大春コン)に交換したら 著しく音質の向上が見られました。

 電源トランスも音質に大きな影響を与えますので 現在評いろいろ価中です。

 残る電源の要素はそうです、ダイオードです。こいつに関してあまりリサーチをかけていませんでしたが、『試聴屋』さんから良いダイオードがあるとアナウンスを受けまして二つ返事で「評価させてください」とお願いしました。


 で、今回の評価に至ってます。

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1.評価したシステムなど

 いつもなら「おでかけDAC」で評価するのですが、ちょうどCongeさんに貸し出しているのでいつもの抵抗評価と違った構成になります。

 CDプレーヤは市販機 KENWOOD DP-990SGを使いました。このCDプレーヤは、4倍オーバーサンプリング(SM5804) 16bit DAC(PCM56P-K)を搭載した十年以上前の中級機で、実験用にしようと安価で譲ってもらったものです。入手状態では素直ながらボケた音でしたが、改造しやすそうな基板構成であったことと4倍デジフィルと16bit DACの構成が気に入ったため、ダメ元で少し手を入れました。デジフィル以降の回路をPCBパターンから起して不要な回路をジャンパーで飛ばし、ゴミみたいなOP ampと電解コンをまともな物に交換し、クロックをちょいといじってMSBの調整をきっちりやっただけですが、眠たい音がしなくなり評価を行っても差し支え無い程度にまともになりました。また、このCDプレーヤは電動ボリュームによりリモコンで出力レベルを可変できて便利なので可変出力を直接電流アンプに接続しました。よって、CDプレーヤ+電流アンプのみと非常にシンプルな構成となりました。上段の真っ黒なのがKENWOOD DP-990SG改で、下段のコンデンサの塊が電流アンプの電源部です。

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2.評価したダイオード

GBPC2504
 金田アンプ愛好者には馴染みの深い400V 25Aのブリッジダイオードです。

 若松でもテクニカルでも\700の代物です。

 手持ちのGBPC2504で電流アンプ電源部作ってからさんざん聴いているのでエージングも十分こなしています。


SEMIKRON SKKD40F04


AMP-5512に内蔵した例

 今回評価対象のSEMIKRONのモジュールダイオードSKKD40F04です。『試聴屋』さんからお借りしました。送られて来た荷物を明けてビックリ 

なんちゅうデカさや!

 ハイチュウ(飴)くらいあります。
 しかも2個シリーズに2個つながった変わった構成のモジュールダイオードで2個でブリッジになります?どう見ても工業重機用ダイオードですねぇ

 耐アーク特性抜群の巨大なNichicon NXと合わせて、どう見ても民生品には見えません。ほとんど溶接機かなんかの電源みたいですね。『試聴屋』さんによると、締めつけネジは真鍮やないと鉄の音が乗るそうなんで真鍮のネジを買い求めました。お値段は『試聴屋』さんに問い合わせて下さい。高いらしいです(^ ^;;
 
 こっちに資料があります → SEMIKRON

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3.試聴ソースに関して

 抵抗評価第3回と同じようなソースですが、今回はボーカルを変えました。



ジャンル
アーティスト
アルバム
CD番号
Track
曲名
楽器
Vocal Rebbecca Pidgion the raven Chesky JD115
#3
the raven ボーカル・ソロ
JAZZ The LA4 亡き王女のためのパヴァーヌ EAST WIND PHCE2043
#1
亡き王女のためのパヴァーヌ サックス、ギター、ドラム、ベース
バイオリン 潮田 益子 イザイ バイオリン・ソナタ op27 fontec FOCD3284
#4
  バイオリン・ソロ


 ボーカルのチェックには前回までKeiko Leeを使いましたが、Rebbecca PidgionはCongeさんがチェスキーのCDを扱い始めて何回も聞くうちに気にいって購入したCDです。Rebbeca Pidgionという名前を知りませんでした(ファンの皆さんごめんなさい)。録音はいいわ、歌はうまいわで気に入ってしまいました。ボーカルのチェックとしてはこっちの右方が上なのでKeikoさんには悪いのですが引退をおねがいしました。

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4.評価手順

 抵抗の比較試聴のようにソケットで簡単に刺し換えることはできませんので、ちょっと苦労しました。もともと、電流アンプはトランスの2次巻線が2組あり、左右独立で整流し、電解コンを3個(謎のコンデンサ 3300uF 450V 2個+Nichicon NX 5600uF 450V 1個)組み合わせて供給しています。 左右の電解コンをつないで左右共通電源とし、片チャンネルのGBPC2504を切り離してSEMIKRONに交換してあります。 ご覧のように 圧着端子で組み替えが楽にできます。

 評価するダイオードをコンデンサに接続し、もう一方のダイオードの出力端子を絶縁テープで被ってダイオードを切り換えました。

 切替え時にはコンデンサのチャージが十分抜けていることを確認しないと恐いことになりますのでしっかりテスタで電源電圧を測りつつ切り換えを行いました。従って、抵抗評価みたいに1曲毎に切り換えるということをせず、3枚のCD聴き終えてから切り換えます。

 なお、エージングのためずーっとSEMIKRONにしてましたので 一度3枚を軽く聞いた後に GBPC2504に切り換えSEMIKRONに戻しました。よってSEMIKRON → GBPC2504 → SEMIKRONの順番になります。

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5.評価結果

 今回は2種類と少ないので表にして見やすくしました。

Music
楽器
GBPC2504
SEMIKRON
Rebbeca Pigion ボーカル 線がやや細くなる。混濁感があり、抜けていない。バランスは良く、雰囲気音は良好。空気感は出る。ボーカルにマッチしている感じがある。
抜けが良い、透明感が出る。
やや高音よりになるが、S/N良い、バックの演奏の見通しが利く
Esye バイオリン  混濁感が付きまとうS/Nがやや悪い感じ。消え際が暗騒音に飲み込まれる感じ。弦の艶は悪くないが、ややこじんまりした演奏になる。
やや高域寄りのエネルギ分布となる。混濁感は無く、リアルっぽいが潤い感は少なめ。消え際の表現は良好
LA4 やや硬質 ガラスの鐘の音 消え際がよく聞こえない 良好、微妙な表情まで聞こえ金属の鐘
フルート 木質感があり柔らかく良い。 やや乾いた感じがするが、抜けが良い。聴いてて快い。
ブラシ ややバタバタした煩い感じ粉っぽい 2504よりスネアの上でブラシが踊っているのがよくわかる
バスドラ 皮が弾けた感じがゆるい ベタッとせずに、皮が張っている感じがする。
ベース ややこもった感じ、やや平面的 ベースの音が立つ、ベーシストの指が見える。
ギター ややこじんまりしているが良い、リアルっぽい 弦が太くなって鳴りっぷりは良いが、リアルっぽさは2504が上
全体 やや煩い感じがする。抜けが今一歩だがバランスは良好で聞きやすい。 S/Nが良く、抜けが圧倒的によい エネルギがやや高域寄りになるため、トータルバランスとしては2504に劣る点もあるが、より正確な表現であるように思う。

 通しで聞いて感じたのですがSEMIKRONが静かで太く抜けが良く躍動感があるのですが、エネルギ分布が高域寄りになっているので楽器や演奏によってはなんかハマっていない感じがする場合があります。逆に、GBPC2504はやや暗騒音が大きく、こじんまりした音になりますが 私のシステムではバランスは良好で安心して聞けます。ただし、『試聴屋』さんも承知しているのですが、SEMIKRONは恐ろしくエージングに時間がかかるダイオードであるので試聴時点での評価であることをご承知ください。

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6.総評

 2種類の比較試聴で総評というのも何ですが、SEMIKRONの方が、静かで瞬時電流供給能力が優れると聞きました。従って、聴感上のS/Nが良く、音楽が見渡せるような感じがします。効果として電源ケーブルを良質のものに交換した時と似た”抜け”に効き、特にパルシブな音と消え入るような音に効果があります。しかしながら、アンプとのマッチングか、エネルギーが若干高域寄りにシフトする感じがして、GBPC2504の方がまとまっていて密度感がある場合も多く感じました。

 で、SEMIKRONの長短所をまとめてみました。

長所

  • 上記のように"音質"、特に”抜け”が良好
  • ネジ端子なので使いまわしができる。
短所
  1. 大きい → 実装出来るアンプが限られて来るでしょう。
  2. 高価  → 安くありません(T_T)
  3. 使いにくい → ダイオードが2個シリーズになっているモジュールなのでブリッジにしか使えません。SEMIKRONには他のモジュールもあるので選択することにより両波整流にも使えます。 『試聴屋』さんにお願いしましょう。
  4. エージングに時間がかかる → 最初の数日は劇的に音が変化します。10日間くらいは、毎日音が変って評価出来なかったくらいです。1ヶ月くらい使っていますが、まだ音が微妙に変化します。
 このように、万人にお勧めできるダイオードではありません。
 ということで このダイオードを使うユーザの想定をしてみました。
  1. お金持ちがコレクションとして持つ(^ ^;;
  2. アンプの電源対策をヤリつくした方。
    → 電源でいちばん効くのが電解コン、次がトランス、次がダイオードか電源ケーブルだと思います。
  3. 電流アンプ愛用者
    → 電流アンプに限りませんが、電源の瞬時電流能力がアンプの音質に大きな影響を与える傾向のパ ワーアンプには非常に良く効くと思います。

 電源への投資効率としては、やっぱり電解コンで、Nichicon NX(俗に大春コン)は、非常にS/Nが良く音楽のダイナミックさが際立つ点で一番です。次はトランスは、漢方薬みたいに遅効性でジワジワ効いて来ます。音の太さと伸びやかさに効きます。ダイオードは抜けの良さに利きますが、トランス電解コンの相応のレベルの場合でないと良さが享受できないかもしれません。

 今回は、パワーアンプ電源2種の比較でしたが今後いろいろと評価しても面白いことがわかりました。ただ、抵抗と異なり危険を伴い、簡単に切り換えられない難点はありますが....これも何か対策を考えねばなりませんねぇ。楽しい悩みはまだまだ続きそうです

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