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マルチシステム構成
音のクオリティを高めて行くと、最後はマルチアンプを使ったシステムになります。
最初は、CDプレーヤ、アンプ、スピーカーの組み合わせで聴いていますが、それに不満が出ると、各機器を良いものにグレードアップして行きます。ところが、かなり高級な製品を使っても、アンプ1台に2WAYや3WAYのスピーカーという構成では限界が来ます。
スピーカー内部に入っているネットワークがその元凶です。ネットワークに使用されているパーツは、ほとんどお客様の目に触れることのないものですが、出てくる音質のかなりの部分に影響を与えています。アンプは、スピーカーのボイスコイルを駆動することを前提に作られますが、現実には、スピーカーの中に入っているネットワークを駆動させられています。ネットワークには簡単なものから複雑なものまで千差万別なので、アンプは、どのようなネットワークを駆動させられるか事前にはわかりません。このような状態で使われるアンプはちょっと不幸です。設計通りの性能が発揮されるとは限らなくなってくるからです。
そこで、アンプ1台で1個のスピーカーユニットを直接鳴らしてあげようというのがマルチアンプシステム構成です。このようにすれば、それほど高いアンプでなくても設計通りの音を出すことができますし、スピーカーも所定の性能を発揮できます。
これを実現するにはCDプレーヤ、アンプ、スピーカーの他にチャンネルデバイダーが必要です。チャンネルデバイダーは、ユニットの帯域に合わせて必要な周波数に分割してくれる装置です。ツイータは高域用ですから高い周波数の音だけを高域用パワーアンプに供給します。低域はその逆です。2WAYではパワーアンプが2台要りますが、この構成にしただけで音のリアリティがぐんとアップします。
このような構成で鳴らすには、スピーカーもマルチアンプ対応の端子を持っている必要がありますので、将来のグレードアップを考えれば、初めからマルチアンプ対応のスピーカーを購入しておくと将来が楽しみです。そうでないスピーカーなら、少し手を入れて、ユニットから直接ケーブルを引き出すように加工をすれば同様です(メーカー保証は受けられなくなりますが)。
SATRIアンプでマルチシステムを構成するには、AMP-5511やAMP-5512を複数用意すれば可能です。
マルチを構成する際のアンプですが、2WAYでステレオアンプを2台使用する場合、1台めを両チャネルの低音用に使い、もう1台を高音用に使うのが一般的ですが、他の構成もあります。音質的に見ると、ステレオアンプ1台よりもモノラルアンプを2台使う方が良くなりますので、モノラルアンプ4台という構成の方がよりグレードの高い音になります。AMP-5512はステレオアンプですが、BTL構成でモノラルアンプになりますので、AMP-5512
BTL x 4台という構成が最もクオリティの高いシステム構成になります。また、BTL駆動という方式は音の力感や存在感に優れますので、モノラル構成にした効果と、BTL駆動の効果の両方のメリットが得られます。
ボリューム調整は、チャンネルデバイダにマスターボリュームがあれば、それを使って調整できます。ない場合は、プリアンプを入れる必要があります。現代ではプリアンプの役割もだいぶ変わり、本来の"前置増幅器"という役割よりも、むしろ音を絞り込む役割の方が大きくなっています。プリアンプの出力としてはCDプレーヤの2V出力で充分なので、本来増幅する必要はなくなっているからです(LPの場合は出力が小さいので話が別です)。
パワーアンプにSATRIアンプを使用した場合は、できるだけプリアンプとチャンネルデバイダーもSATRI回路を使用したものにし、全段SATRI-LINKで電流電送をした構成が最もクオリティの高い構成になります。
ここまでのシステムを構成している方はまだほとんどいませんが、急がず少しずつグレードアップして行くのが良いと思います。オーディオはまだまだやることがたくさんありますね。
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