AMP-5510Mk2+ガラス巻線/DALE巻線ATT
比較試聴記
愛知の阿部様より
阿部様は、AMP-5510Mk2に巻線アッテネータを付けた製品をお使いですが、ガラス巻線とDALE巻線のどちらにするか決め兼ねていましたので、比較した上でお買い上げいただきました。以下はそのときの試聴レポートです。
システム構成
CDプレーヤー |
CEC CH7700
(足のみ真鍮+ブチルに変更。精度アップ等は未実施) |
LPプレーヤー |
パイオニア PL50LU(冬眠中) |
パワー |
BP AMP-5510Mk2 |
スピーカー |
Cabasse DORIS |
SPケーブル |
ダイエイ電線 50芯 |
使用システム
スピーカーはフランスCabasse製でDORISという3WAYのスピーカです。私のは右のカタログ写真と違い、ウーハが白いコーンに変更されています。
スピーカとスタンドの間には鉛の円柱(高さ5mm)とブチルゴムで防振しています。また、以前のアンプのシステムではCH7700は高音が少しうるさかったので、銅シートを下に引き、かつ、スピーカ端子に逆起吸収用コンデンサを入れていました。アンプを換えるとコンデンサをはずしたほうが良くなり、現在は外しています。
ガラス巻線対DALE巻線アッテネータ比較
結論から
ガラス巻線とDALE製との差異は微少なレベルで、コストパフォーマンスを考えると、ガラス巻線は優れた抵抗です。しかし、ほとんどの音楽でDALEの方が優れており、最終的にDALEを採用しました。
【ガラス巻線】
- DALEと比べると余分な付帯音がある。
- 輪郭がしっかりでる若い音質。
- ステップ応答でのオーバーシュートのようなイメージ。
- 決して嫌な音ではなく、余韻が美しいと感じられる音質だが、その付帯音のため、交響曲のホール感が表現できない。
- JAZZなどは力強く聞こえ、オーケストラや泣かせる演奏を聴かないならば、ガラス巻線で全然問題ない。
【DALE巻線】
- ガラス巻線と比べるとステップ応答の角が丸くなったような音質。
- 何も足さず、何も引かない素直な音質。
- オーケストラのホール感や個々のパートの音源の大きさが適切で、バイオリンの音質も良い。
- 今後のエージングに期待。
- スピーカの限界までコントロールしているような鳴り方。
ガラス巻線の方が良かったのは、
・浜崎あゆみのBoys&Girls
・サムシング・エルスのピアノ
のみでした。
詳細評価
ガラス巻線アッテネータをG、D:DALE巻線アッテネータをDと表記します。
1.NHKアナウンサの声
エージングの影響かガラス巻線の方が良かった。
種別
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評価
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コメント
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G
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○
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エッジが立っている。サ音が目立つ |
D
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△
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エッジが丸く曇っている |
2.<バイオリン>オイストラフ ブラームス/タルティーニ(ビクター)
DALEの方が断然良い。
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種別
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評価
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コメント
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バイオリン |
G
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△
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音は新鮮。情緒がない |
D
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○
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泣ける音色。情報量多く、指使いよく分かる。
エッジは丸い? |
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種別
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評価
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コメント
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ピアノ |
G
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△
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音は新鮮だが余分な音が出て呆けるところ有り。
音が発散気味 |
D
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○
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低音部どっしりして良い。全体のつながりも良い。
演奏のせいかエッジは丸い。 |
3.<JAZZ>サムシング・エルス キャノンボール・アダレイ
一長一短あるが、比較しなければガラス巻線の方が心地良いかも。
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種別
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評価
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コメント
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トランペット
(マイルス)
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G
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○
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力強いマイルス。情緒は隠れるが心地よい |
D
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○
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音は飛び込んでこないが音色良い。
マイルスだ。残響も良い。 |
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種別
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評価
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コメント
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サックス
(アダレイ)
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G
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○
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張りのある音色 |
D
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○
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残響音もよく分かる |
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種別
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評価
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コメント
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ドラムス
(ブレーキ−)
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G
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○
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乾いた音色。音が主張している。
DALEよりシンバルらしく聞こえる |
D
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○
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シンバル、ブラシワーク等自然な鳴り方 |
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種別
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評価
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コメント
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ピアノ
(ハンク・ジョーンズ)
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G
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○
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DALEより良い音に聞こえる |
D
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△〜○
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丁寧な音が出る。
録音のせいか音場が崩れる |
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種別
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評価
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コメント
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ベース
(サム・ジョーンズ)
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G
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○
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DALEよりらしく聞かせる |
D
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○
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余韻も聞かせてくれる |
4.<女性ボーカル>ファーストラブ 宇多田ヒカル
微少な差異だが比較するとDALEか。
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種別
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評価
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コメント
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ボーカル
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G
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△〜○
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生々しさあるが、虫眼鏡的で音像が大きい |
D
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○
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等身大。落ち着いて聴ける |
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種別
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評価
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コメント
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低音部
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G
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○
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どちらも大差なし |
D
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○
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どちらも大差なし
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5.<女性ボーカル>ベスト 浜崎あゆみ
1曲以外はDALEに軍配。
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種別
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評価
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コメント
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ボーカル
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G
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○
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サ音強調されており、生々しさ感じる。若干発散傾向 |
D
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○
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自然な音色
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Boys&Girlsはガラス巻線の方がボーカル/インスツルメンツ共に良かった。
スローな曲はDALEの方が良い。
6.<交響曲>マーラー4番 インバル
種別
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評価
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コメント
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G
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△
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楽器毎は力強さある。微視的に聞かせるため、オーケストラとしては団子になる。音色は魅力的な付帯音に聞こえる。 |
D
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○
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音色ナチュラル。エネルギー感もある。S席の後列側で聞いている感じ
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7.<交響曲>マーラー5番 インバル
種別
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評価
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コメント
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G
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△
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余韻が美しい(←と感じるのはホールが再現できていない部分の音でした)。オーケストラやホールの再生は×。 |
D
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○
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ホールのスケール感までは表現しきれないが、天井の高さまで分かるよう。スピーカの限界か?S席だとこんなもんか?
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8.<交響曲>ショスタコービッチ5番 インバル
種別
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評価
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コメント
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G
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○
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何処に座っているかまでは分からないが、違和感なし |
D
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○
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S席の前列側で聴いている感じ。録音の進歩を感じる。
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試聴結果より、DALEを採用することに決定し、ガラス巻線のアッテネータを取り外しDALE製に交換しました。
その状態でのんびり試聴して、新しく気が付いた点として、
・PCM録音のはずのマーラー4番の高音部にシャーというヒスノイズが乗っている。CDを一時停止にすると消えるので、CDまたはCDPの問題。ヒスノイズがなくなる部分があり、その変化の部分が気になるようになった。PCMなのに何故??(*_*)。
原因は不明だがアンプの表現力が良いのだろう。
・スピーカのバスレフの音の遅れが気になるようになった。
バスレフを塞いでみると、
種別
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評価
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コメント
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宇多田
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○
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低音締まる。バスレフだと若干ぼける。 |
オイストラフ
|
×
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ピアノが全然ダメ。ピアノの姿が見えなくなる。
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ということで両立解なし。スピーカの限界と思われる(>_<)。
・聴いていくほど、低音がどんどん出るようになった。
ウーハも動いているのが目で見える。DALEのエージングのせいか?アンプのエージングのせいか?このスピーカでこんな低音が出るとは驚きです!(^^)!。
・最後にアナウンサの声を聴きましたが、そこで喋っているような出方なので、最初に感じたエッジの丸さは解消されたんだろうと思われます。
再度の比較は余り意味がないので止めました。
試聴屋さんのおかげで、貴重な体験が出来ましたし、次のベクトルも見えてきました。また、録音の善し悪しや加工などが目に付いてきますので、音場感の無い録音や、音質の悪い録音のCDはだんだん聴かなくなるかもしてません。但し、宇多田にしても加工音が気にならないでもないですが、充分楽しめますので、聴ける幅は広そうです。
続いてDALE巻線ATTを組み込んだAMP-5510Mk2の感想です。
1.全体的な印象
スピーカの高音から低音まできっちり制御しており、部屋全体の空気を含めて
コントロールしているように感じる鳴り方をしている
2.音場感
- 上下によく広がる
- 左右の定位がしっかりしている
- 前後には、前に拡散する部分もあるが、基本的にスピーカから後方に広がる感じ。
よく何メーター何センチに音場があるというコメントがあるがそこまでの距離感は見えない。主要因はスピーカの質の問題と設置の問題(壁2面の近傍に設置)と思われる。CDによっては、音声と楽器をセンターの同じ所に重ねた録音もあるが、干渉することなく別々の音像で聞こえ、十分音楽鑑賞に浸れるレベル。
3.音質
- 生き生きとしたクリアな音質
低音も十分すぎる程出ているが、決してパワー感があるとか輪郭が際だっているとかの誇張した鳴り方じゃなく自然な鳴り方をしてくれる。
- 各パートがエネルギー感というか生命感というものを持っている。
- 音源の大きさが適切でオーケストレーションでも団子にならない。
このスピーカでここまで表現できるのか! ここまで低音が出るのか!と思う鳴り方で、HPに記載している「パワー感がある鳴り方」とはこのことを言っていると解りました。「パワー感」という言葉から少し誇張した作った鳴り方をするのかなと誤解していました。
このスピーカは、分解能やスピード感こそ無いものの、自然な鳴り方をするので、アンプの差をよく表現できます。EARのアンプだと独特の密度感を表現しますし、ミュージカルフィディリティーのアンプ(A1クラス)だと少し平べったい音場で乾いた音色になります。
AMP-5510MKUとの組合せが今まで聞いた中でベストなのは言うまでもありません。今のシステムでこのようなレベルの音楽が味わえること、感謝しています。
現行システムだと、スピーカ、ADC、CDPの順に改善効果が大きいと思いますので、じっくりと楽しみながら改善していきたいと思います。
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