金メッキテフロン単線試聴記
感動そのもの
熊本の藤本様より
AMP-5511K金メッキ線交換(写真クリックで拡大)
私は、オーディオ歴だけは35年とキャリアはありますが、音楽を楽しむというより音を楽しむ音キチの部類に入ると思います。若い頃は、ステレオ雑誌に踊らされ、ボーナスを注ぎ込んだものです。しかし、陶酔している自分を冷ややかに見つめている別の自分がいることに気づき、それ以来、アンプはクリスキットを25年間使い続け、スピーカーは30年前のJBLユニットを自作のボックスや自作のホーンで楽しんでいます。
3年前、SATRIアンプに出会いAMP-5511Kを購入しました。どうせ音の変化を楽しむ性格ですので、完成品より手頃なAMP-5511Kで改造して楽しむかといった軽い気持ちで購入いたしました。従って、SBFヒューズ(サブゼロ処理済み)、SBDダイオード、SATRI-IC
5.1レジン、AD-23(DALE金属皮膜抵抗アッテネータ)、SPC-9010スピーカーコンディショナーと変化を楽しんできました。勿論、電源コードやRCAケーブル、インシュレーター等も変わっています。それらの変化は、音域が広がったり音に立体感が出てきたり、それなりにありました。そのたびに感動いたしました。しばらくするとその感動は薄れてしまい聞かなくなってしまいます。仕事柄聞ける時間帯が少ないのもそうですが、自然にアンプのスイッチに手がかかる回数が減ってきました。やっぱりAP-23の購入かなと思っていた矢先、「金メッキテフロン被覆銅単線」の記事を目にしました。
以前からサブゼロ処理とかクライオジェニック処理という低温処理で分子や原子レベルの配列を規則的に再配列すると電気の流れは速くなり、音質に影響すると聞いていました。840円/mという安さもあり、実験感覚で電話してみました。ところが、山崎さんから素っ気ない返事をいただきました。それもそのはず、取り替えるラインの部分も決めていませんでしたし、漠然とした気持ちで電話したことを反省いたしました。
入力のシールド線を単線に変えるのは、雑音処理の関係上自信がありませんので、電源部及び出力部のすべての線を変えることにしました。ところが、AMP-5511Kに使ってあるトランスは直接ラインがでていることに気づきました。でもどうせ実験ですから、ラインをトランスの根本で切断して換えようと思い、結局5m注文しました。
金メッキテフロン被覆銅単線は意外と柔らかく、半田ののりもよく作業もやりやすいように思いました。金メッキテフロン被覆銅単線は、一本一本丁寧に取り替えていけば、さほど難しい作業でもありません。
早速音出しです。はやる気持ちで電源を入れ、ヨーロピアン・ジャズ・トリオのクラッシックシリーズ第3弾「マドンナの宝石」のCDのボリュームを上げました。ところがピアノの音が甲高く「カーン、カーン」と鳴り出しました。中高音はホーン型のスピーカーですが、それにしても甲高いぎすぎすしたひどい音です。でも、金メッキテフロン単線試聴記1にあった「予期した音」でしたので別に驚きはしませんでした。教科書通りにしばらくエージングをすることにしました。2昼夜エージングのままの状態を続け、3日目に本格的に試聴を始めました。最初のヨーロピアン・ジャズ・トリオのCDのボリュームを上げました。最初の音出しの音とエージング後の音がどう変化したのかを確かめたくて敢えて同じCDを選びました。
結果は、感動そのもの。あんなに甲高かったぎすぎすした音は完全に消え、全く別の次元の音が存在していました。まずは、うるさいという感じはなく、逆に、CDの録音レベルが下がったのかなと思いました。このCDは元々録音レベルが高く、ボリュームを上げると中音のピアノが前に出てきてうるさいと感じていました。また、低域も少しぼてぼての状態でした。それがどうでしょう。自然で癖がなく、しかも音に深みが増してきました。音と音との間に静寂を感じます。それほど耳には聞こえなかったノイズ(?)が存在していたのでしょうか。そして、今までの冷たい感じの音は消え、暖かい音に変わりました。ピアノの音の響きがとても心地よく聞こえます。ベースの音量もアップし、一音一音が明確になり締まってきたという感じです。音の速さを感じます。これまでの改良ではなしえなかったところです。
特に、ハイハットのシンバルを叩く音が全然違います。音の強弱もはっきりわかりますし、叩く部位の違いもきちんと聞き取れます。出力のラインや電源部のラインをサブゼロ処理の金メッキテフロン被覆銅単線に変えただけでも、こんな情報量・音の静寂の増加に伴う音質の変化があるのかと驚いている次第です。
このことに気をよくし、さらにアッテネータから基板までのラインも金メッキテフロン被覆銅単線を1m追加して変更しました。この変更でさらに柔らかさが増し、腰の弱い音になるのではという懸念がありました。しかし、音の輪郭がさらにはっきりするとともに深さや暖かみが増したように感じました。特に、音のスピードが増したと思います。生音に一歩近づいたように感じました。
昔は、JBLで弦を聞こうと試行錯誤したことがありますが、弦の音がどうしてもしっとり鳴きません。今までのSATRIアンプでも少しは改善されましたが同様です。今度も無理かなと思い。半信半疑で高嶋ちさ子のCDを聞いてみました。
なんだ!弦が聞ける!
さらに感動を覚えました。バイオリンの音がしっとりと鳴っています。耳につくような音でなくとにかく気持ちのいい音に変わりました。また、今まで気づかなかったそれぞれの楽器の特性もよく出ています。
音キチの妻は、オーディオマニアには冷淡です。結婚以来30年、どんな音の変化にも冷ややかだった我が家の妻が「音楽が聴きやすくなった。」と言いました。これこそ金メッキテフロン被覆銅単線の快挙だとうれしくなりました。
|