SCA-7510K
+ Audio Technica ATH-W11Rヘッドホン試聴記
東京の川村様より
ATH-W11R
本当は現有機D-55のユニットをFOSTEX FE-208ES(限定品)に無理矢理にでも取り付けてみたいと思っているのですが、その気になるのが遅すぎたため店頭在庫もなくなり、次回のセールを待つしかなくなりました。そこでTEAC製CDプレーヤ(VRDS-50)でも購入しようかと思ったのですが、時代物とはいえ「並程度」の音を出す完動品があるため二の足を踏んでしまいました。そんな中「STEREO誌1月号」を読むと「話題の新製品を聴く」の中でAudio Technica ATH-W11Rヘッドホンが取り上げられていました。
私は、実際にはヘッドホンで聴いている時間の方が遥かに長い上、カートリッジ購入の結果が良かったこともあり、再度Audio Technica製の「現有機の2倍価格商品」を購入することにしました。国内外の製品でもっと高いものが沢山あることは知っていますが、この辺の価格が私の限界です。
1.試聴経過
エージングなしの状態だと流石に音がシャラシャラした感じで余計な音も出ているようですが、それ以外に今まで聴いたことがない音も聞こえているようです。
高域に艶があり(銀メッキ線の音色を強くした感じです)、オフマイク気味の軽く柔らかい音です。かなり高域よりの音なのですが刺激音はありません。
30分後くらいから徐々におとなしくなってきますが、「STEREO誌」中で入江氏が「シンバルは量が少し多め」と書かれている意味が良く分かります。2時間経つと全体に安定感が出てくるとともに、高域の艶及びシャラシャラ音が減少してきます。3時間経つと低音に力が出てきてかなり良くなってきますが、どうも数時間のエージングでは真価を発揮しないもののようです。
そう思いながら、3時間半ほどしてSONYのヘッドホンと聴き比べてみました。確かにATHの方が良いようですが、価格ほどの差があるとは思えません。
これは失敗したのでは思いながら、諏訪内晶子「チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲」を聴いていました。聴衆の雑音がパサパサした感じに聞こえるし、何にしてもオフマイク傾向が多少残っています。入江氏の言われている通りです。「低音の量はあるが、全体にやや音の指向が違うようだ。」
そのとき「ハッ」と気がつきました。フォンプラグの消磁をしていなかったのです。早速消磁処理しました。全く音が変わりました。モヤが一気に晴れ、繊細で明解な音になりました。ヴィオリンが泣くような音も出てきます。私はこの音で満足です。十分価格以上の音になりました。
エージング4時間半で全域に透明感が出るとともに、スピード感、解像度が増してきました。力強さもさらに加わってきました。今後が非常に楽しみです。
2.音質劣化の要因
ドライバーの強力なマグネットのために、フォンプラグが磁化されたのがトラブルの原因だと思います。箱から出した状態では、フォンプラグはコードを束ねた状態でドライバーのすぐ横にあったように記憶しています。「もしこの消磁機を購入していなかったら」と思うとともに、これが原因で評価が悪くなるのは大変残念なことだと思います(記事中で、石田氏は非常に良い評価をしているのに入江氏の評価が悪いのは、同一品をテストしなかったか、石田氏が消磁装置を使っているのだろうと思います)。
3.その他
Audio Technica製品でも「CD STABILIZER AT674」は、SCA-7510Kの登場とともに引退となりました。他製品の場合はわかりませんが、「SL-P1200」には合っていなかったようです。外すことにより「抑圧感」が低減しました。
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