PCAアブソーバ試聴記
横浜の菅野様より
(1通目)
〜 プレーヤー、アンプ用ピンポイント・カーボンアブソーバー
〜
-- PCA-1Gについての感想 --
PCA-1Gモニター結果のご報告
前略
先般は掲記モニター品をお送り下さり、誠にありがとうございました。約1ヶ月間楽しみながらいろいろと試聴、比較させていただきました結果を以下のとおりご報告申し上げます。
結論としてレコードプレーヤー用としてとても素晴らしい効果があり大変喜んでいます。またプリアンプ用としても同様の効果があり、最終的には両者同時にセットした場合の変換をぜひ試してみたいと思っています。
今まで主として機器の変更、追加で苦労を重ねてなお到達できないでいます自分の好みの音に、今回相当近づいたようです。予想外の成果に大変満足すると同時に、モニターの機会を与えて下さったスズキ電子様に心よりお礼申し上げます。
このご報告が何らかのお役に立てば幸いです。もし追加試聴のご要望がありましたらご連絡下さいます様に。
1.私のオーディオシステムと現状
私の現用システムを図1に、オーディオルームの配置を図2に示します。
図1
(マウスクリックで拡大)
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図2
(マウスクリックで拡大)
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システムはアルテックのスピーカー群を真空管アンプで鳴らすヴィンテージ派です。原システムで少し前まで使用していた大型ボックス、シンフォニーマスター(ユートピア製)は、音場感や雰囲気は抜群なのですが、ジャズを楽しむには低音の迫力に不満があり、いろいろと手を加えた末に、昨年MJ誌の「部品交換」欄で求めたオンケン製のマルチダクトボックスに交換して現在に至っています。
音源はLPオンリーで、CDプレーヤーも有していますが主としてアンプの立ち上げ用で、全く熱が入っておりません。しかもプレゼントで入手した最も安価なクラスです。
住まいはマンションですが「ジャズを大音量で聴きたい」熱望断ちがたく、6年前近所のビル1階に16畳相当の部屋を借りて現在のシステムを構築しました。コンクリート打ち放しの専用の部屋なので期待したのですが、意外とデッドな感じで中高音の輝きが不足です。また部屋の縦横比が関係するのか低音の迫力も今少しでなかなか希望する音にはなりません。
今回のテストに当たり、思い切って(アルバイトを2人頼んで)オンケン・ボックスの後側に隠すように並べていたシンフォニー・マスターを移動し(図2参照)、主スピーカーが良く鳴るように位置を再調整し、レイアウトをすっきりさせました。この状態で約2週間耳ならしを行った後、以下のインシュレータ挿入、取り外しての試聴を実施しました。
なお試聴に試用したレコードは以下の通りです。
●モダンジャス系
・Bill Evans / Waltz for Debby
リバーサイド9399/ビクター音楽産業VIJ-113
・Art Pepper / Meets the Rhythm section
コンテンポラリー S7532
●スイング系
・Monty Alexander / in Tokyo
パブロ 2310-836
・Scott Hamilton / Close up
コンコード/ユピテル LCJ-2052
●ビッグバンド系
・Count Basie / Chairman of the Board
ルーレット/日本コロンビア YW-7547
●ムード系
・Paul Weston / solo mood
米コロンビア CL-879
・Frank chacksfield / The music of Cole Porter
London SP44185
●CD
・藤原清登/鈴木良雄 / 豊壌の響き ベース&ベース
KING KICJ368
2.プリアンプ(マッキントッシュ C-22)への挿入
パワーアンプの方が効果がありそうですが、モノラル2台組のためインシュレータ不足で比較できません。手始めにあまり期待せず最も簡単なプリ下面へ挿入しました。レコードプレーヤーはマイクロDD-100です。
(1) 音場が拡がると同時に背景が静かになる
(2) 各楽器の定位と分離が良くなる
(3) ピアノ、シンバルがよりリアルに響き、ベースもよりタイトにはずむ感じになる
(4) サックス、トロンボーンなど管楽器の響きが分厚くなる
以上が各レコードで共通する変化です。
ただしこれは一聴して誰にでも(オーディオにあまり関心のない人も含めて)わかるほど明確なものではなく、インシュレータを挿入したり取り外したりを繰り返して確認できる程度です。
---と、そのときは感じてメモに残したのですが、試聴を終わって最終的にセットし、好みのレコードを数日(1日6〜7時間)聴き続けてみますと今まで長い間感じて来た音と全く変わっているのに気付きました。
何よりも、
(1) 響きがより自然に、立体的になっている
(2) 音がスピーカーから離れて前に出る
等を感じます。従ってプリに対してもやはり相当の効果があったということになります。
Machintosh C-22へのPCA-1G挿入位置
(底板ではなく縁の部分に置いています。底板に挿入すると音がふやけてしまい逆効果になるようです。)
3.レコードプレーヤー (マイクロ DD-100)への挿入
これはまさに劇的な変化で驚きました。基本的にはプリの項で列記した効果が、より明確に強調されて出現するのですが、特に音場が前後と上下に拡大し、臨場感あふれる雰囲気が生じるのです。
例えば、録音の良いビル・エバンスのピアノトリオではピアノとベースがちょうど3D立体映画のように前方へ張り出し、同時に客席との間の空間が拡がってそこに確かに空気が存在するような気配が自然に感じられます。客席の物音や拍手なども多少の潤いを伴う落ち着いた響きとなり、自然なライブ空間が現出するようです。
また、今までは右のピアノと左のベース、シンバルが別々の空間で演奏されているように感じていましたが、今回ようやく空間が融合して一体化したと思われました。同時にピアノの音も芯のある力強い響きとなり、何となくうるさい感じのあったシンバルもさらさらした粒子の細かい音となり質感がよりリアルに変化しました。
すばらしい変化に唖然とし、この状態を変えると元に戻らないのではと、試聴をこのまま終わりたいとも思ったのですがそうも行かず、元に戻して数回繰り返してみました(結果はOKでしたが最初の衝撃は多少薄れた)。
オーケストラものは各パートの定位、各楽器の分離が明確に、そして生き生きとした響きとなってステージの直前まで接近して聴く感じです。
日頃の愛聴盤を次々と聴き込むうちにふと思いついて、プレーヤーに取り付けたままのアクリルカバー(演奏中は斜めに開いたままにしてある)を取り外してみたところ、なんと響きがより開放的になり、すっきりとなるのがわかりました。これは溝付きジョイントなので演奏中でも簡単に着脱可能です。
昔からカバーの有害性は良く言われていることでしが、はっきりと相違が確認できたのは今回が初めてです。インシュレータ PCA-1G
の効果でS/N比が格段に向上し、雰囲気のわずかな変化が聴覚で捕らえられるようになったものと思われます。
4.CDプレーヤーへの挿入
上記の結果を見て、もしやと思いテストしてみましたが、気持ち音場の拡がりがある気配はあるものの明確な変化はわかりませんでした。
軽量な機器(6kg)だけに、インシュレータの固定、配置など検討の余地はあるのかも知れませんが、深く考えずにテストを終了しました。
5.レコードプレーヤー (ビクター TT-81+CLP3)への挿入
こちらは3本アーム取り付け可能の大型ベースで、左側に組み込んだ重量型アーム FR-64S にマイクロ DD-100 プレーヤーに類似のDENON
DL-103 LCUを組み付けて比較してみました。
図2に示すように、元々付属していたメーカー製足の下に、自作の砂形インシュレータを追加して長年使っています。
ターンテーブル下面にDDモーターのケースが突出しており、PCA-1Gの全高30mmより高いため、何らかの介在物を入れないと支持できません。
現状のままで PCA-1G を挿入したプレーヤ マイクロ DD-100と、同じレコードで比較すると、ほぼ同じような雰囲気が出て砂型インシュレータもそれなりに有効に作用していたと思われました。PCA-1G
で更に改善できるのではとの期待から、図2に示す樫材のブロック(手持ちのもので、オーデイオ製品ではありません。充分乾燥してはいますが多少の反りがあります)を下敷きとして支持してみました。
本体が大重量であることと、現状のインシュレータが大型でスペースを取っているため、新しいインシュレータでの支持位置(スペース)に制約があり、完全に入れ替えての比較ができないので参考に過ぎませんが、結果はあまり良くありませんでした。全体にエネルギーが減少し、音場が少しぼやけた感じを受けました。樫材ブロックの下面に防振用としてブチルゴムシートを部分的に貼付してみましたが変わりはないようです。後刻機会を見てしかるべきインシュレータを選択、挿入して細かい検討をしてみるつもりでいます。
6.比較試聴の不思議
今まではプレーヤー マイクロのDD-100とビクターのTT-81+CLP3ではそれほど音質に差はなく、むしろDD-100の方が低域が延びているように感じ、最近はこちらを多用していました。従って、今回のインシュレータのテスト結果から行くと、効果の目立たないプリアンプより、マイクロ
DD-100に試用するのがベストのはずで、もちろんこの形で数日楽しみ、報告を上記で終わるつもりでいました。
ところが、DD-100にPCA-1Gを入れた効果を知った後ではビクターのTT-81+CLP3の音もまあまあでは..と思い始め、しばらくプリアンプにPCA-1Gを挿入し、TT-81+CLP3で聴き続けるうちにむしろプリに入れた方が音楽に浸れる様に思えてきました。
今までどうしてビクターのTT-81+CLP3の音の聴き方が違っていたのか。音質の差に気付かなかったのか不思議な気がします。
再び原点に戻って比較を始めると訳がわからなくなりそうでご報告のしようがなくなると思い、とりあえず正直なところを記しました。
今までは、ターンテーブル、コンセントなど何かを替えると音が変化しますが、それまでの効果が上積みされるのはほんの少しで、新しい変化によってそれまでの効果が帳消しになってしまうか、方向が変わるかに過ぎない気がしていました。
しかし、適切なインシュレータが有する効果は疑いのないものですから、値段の手頃な PCA-1C を入手し、2ヶ所同時に使用した場合やパワーアンプ挿入した場合などについて今後時間をかけて試してみたいと考えています(なお、付属のネジは使用せず)。
今回の PCA-1G で、私の音もずいぶん変わり、理想に少し近づいてきました。大変嬉しく思っています。このような機会がありましたらまたお願いしたいと思いますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。草々
(1通目終了)
〜 スピーカー用補助インシュレーター 〜
-- PCA-CB についての感想 --
(2通目)
前略
先般はカーボンインシュレーター一式をお貸し下さり大変ありがとうございました。
その後いろいろと使用箇所や方法を変え、効果を試しておりますが、PCA-1GにPCA-CBを組み合わせた場合の音の変わりようには驚くばかりです。
今のところ、
(1) パワーアンプ
(2) レコードプレーヤー
(3) プリアンプ
(4) CDプレーヤー
と実施し、本命のスピーカー本体はこれからと言った段階です。詳しくは後刻ご報告申し上げますが、特に(2)、(3)でPCA-1G
+ PCA-CBとしたときは、信じられないほどの変化で、音場の拡がり、ベース音の質・量ともの明確な向上が得られ、インシュレータの挿入だけでこのような現象が起こり得るのがとても理解できません。
PCA-CBの追加により、ベース音の紙くささが大幅に減少し、力強く弾むと同時にシンバルの鋭くかつ繊細な響きが生き生きと聞こえるのでモダンジャズが心地よく今まで駄盤と思っていたものが演奏・録音とも名盤であることも再認識できました。
オーケストラものでは、各パートの明確な分離と奥行きが強調され、今まで埋もれていた細かい楽器の音が浮き上がり、はっきりと聴こえます。
(3)のプリアンプで、CDを聴くと PCA-CB の効果がはっきり現れ、前回の PCA-1G のみのときとは比較になりません。
資料によれば、スピーカー以外の機器には PCA-CB は必要ないと記されていますが、これは早急に改めるべきと思い、取り急ぎご報告申し上げます。
もし、レコードプレーヤーとプリにPCA-1G + PCA-CBを入れて聴いたら一体どのような音になるのか恐ろしい程の期待でしばらくは実行できませんでしたが、昨日ようやく針を落としました。結果については後刻にしますが、普段愛聴しているレコードを次々に取り出して聴きまくっています。そしてこの音は私が長年求めてきたものに相当近づいた感じで、このセット状態を変えると再び得られないのでは..との不安から、次の本命テスト(スピーカー)へ進むことができなくなりました。
また、これまでの経験から、最初は大きな変化を感じてもしばらくすると慣れてしまうのか、それほどでもなくなることが多いのですが、今回のこの変化は元に戻さなくてもはっきりとわかる明確な質的向上と考えられ、このまま当分の間聴き続けようと思っています。
そこでお願いがあるのですが、後刻購入を前提としてスピーカー用に PCA-1Gを1セット(3個)、PCA-CBを1セット(6個)お送りいただけませんか?
いずれにしても、今回ばかりは本当にオーディオ(音)の不思議さを実感しています。アンプでさえこのありさまなのでスピーカーではもっと変化があると想像されますが、何とも信じ難い効果なので、結果をみてMJ誌にでも投稿できればと考えています。
私と同じように長年苦労されている方々が大勢いらっしゃるでしょうからきっと喜ばれることでしょう。
興奮気味の手紙で読みずらいことと思いますがどうかお許し下さい。
草々
(2通目終了)
(この内容はメーカーから製品の貸し出しを受けた菅野様の試聴記です。メーカーより掲載許可を得て掲載しています)
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