PRE-7610+AMP-7511M試聴記(1)
東京のshuk様より
PRE-7610(ガラス巻線抵抗ATT付き)+AMP-7511Mx2試聴記 Part
1
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12・19 試聴屋さんよりSATRIアンプが届く。試聴屋さんのアドバイスにより贅沢にも、最初からベストの組み合わせを注文した。PRE-7610(ガラス巻線アッテネータ付き)とAMP-7511Mのバイアンプ仕様という構成である。
テーブルに仮セッティング
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CDP、SP等とコード類を接続し通電開始。まだ音は出さない。システムはCDPがKENWOOD DPF-7002、スピーカーが自作バックロードホーン。長岡式D-55改という構成(↓)。
ケーブルは現状のアクロテックの汎用品を使用。エージング終了後にリファレンスのケーブル類と交換する予定。
電源コードもアンプに付属のグレーのパソコン等に用いられる汎用品で通電開始。ツイーターに耳を傾けても無音。アッテネータの位置は約11時。まず最初の驚き。∞まで回す。かすかに「シー」というノイズが聴き取れる。しかし、今までのノイズと明らかに質が違う。
この静けさは
ただものではない。
ツイーターの能率は公称で108dBもあり、今まで他のユニットとのバランスを取るのに、いかに苦労してきたことか。抵抗、コイル、コンデンサーで本来の音を押さえ込んでいた。それでもノイズが出ていた。しかし、この静寂さ。しばし考え込む。
ウォームアップ8時間経過後(天板がほのかに温くなっている)、いよいよ音出し。緊張の一瞬。
試聴ソフトはこちら→
「…………」
一瞬言葉を失った
決してオーバーに表現するつもりはありません。まして試聴屋さんやバクーン・プロダクツのまわし者でもありませんし、宣伝費を頂いているわけでもありませんので、美辞麗句を書き並べて媚びへつらう気持ちもありません。しかし、このPRE-7610&AMP-7511Mの音をどのように表現したらいいのでしょうか。皆様からの試聴記を読ませて頂いていると、よく「蒸留水のような音」、
「ベールが剥がされたような澄み切った音」、 「広がりと奥行きの有る音」、「音の粒子が手にとるように見える」等々…。言葉での表現には限界があります。
私は一言、
目の前がパッと開けて
腰が抜けてしまいました。
出し抜けに後頭部をハンマーで殴られ、目から星が飛び散り、かつ下腹を鈍器で殴られたようなショックでした。
最近こんなに感動した事があっただろうか。
まさに
「エッ〜!?」
予想に反した意外性がありました。手のひらに乗ってしまうような、軽くて小さなその筐体から、床を震わせ朗々と、イキイキとしてしかもしっとりと、限りなくクリアーで爽やかでありながら重厚で、包み込むような臨場感と目の前で演奏しているようなリアルさと、イヤイヤ、言葉で表現するとかえって安っぽくなるのでもうやめます。どうしてこんな「私好みの」音が出てくるのだろうか。
私好みの音
各楽器の音がクリアーに再現されること。解像度が高いこと。
ベース |
・音が埋もれず引き締まって力強く再現されること。
・ いわゆるゴリッ、ブルンとした音。
・ 弦を震わせる指の弾きが想像できる記憶再生型音質
(写実的・リアルさと いうのでもなく自分のイメージに合致した) |
ピアノ |
・打楽器らしくアタック音が天を突くように上に伸び、
かつ余韻が美しく消えていくこと。
・余計な付帯音がなくピュアであること。 |
太鼓 |
・パーツが鮮明に聴き取れ、音が団子状にならないこと。 |
ラッパ |
・唇の振るえや息づかい聴き取れるようにビビットで
かつ音に厚みがあること。 |
PRE-7610&AMP-7511Mからこの音が出てきたのです。確かに世の中には100万円を超えるハイエンドオーディオ機器はごろごろあり、おそらくSATRIアンプ以上のいわゆるHiFiな音を聴かせてくれるものも多いでしょう。しかし、コストパフォーマンスを考えたとき、この組み合わせの音は世界最高ではないでしょうか。私は今までいわゆる「HiFi」が嫌いでした。聴くソフトのほとんどがJAZZであり、しかも50年代〜60年代のJAZZが一番ホットな時期のコンボが好きなので、どうしても上下の音をスパッと切った中音の厚みのある音に魅力を感じていました。
しかしこのアンプの組み合わせの音を聴くと、音(オーディオ)に対する自分の座標軸が崩れかけてしまいそうです。今までのオーディオ装置は一体何だったのだろうか?
皆さんの試聴記を読ませていただくと、エージングが進まないと「霧がかかった曇ったような音」、「高音がかすれたような感じ」という感想もあり、私も若干の先入観(エージングが終わるまで本来の特性が出ない)をもって試聴にあたりました。しかし私の場合、最初の一音から完全に
ノックダウンを喰らいました。
耳が肥えていない証拠なのかもしれません。しかし、まだエージングも終わっていないセッティングしたての最初の一音に、私はしばし
呆 然
としてしまったことは事実です。
これからエージングも進み、電源廻りや、ケーブル類更にはCDPの交換等のグレードアップを図っていくといったいどんな音になっていくのか、想像しただけでもワクワクします。
本格的エージングの開始
エージングソフト
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エージング中
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ヘッドフォンの焼き切れ、破損
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トラック8番(12分)をリピート1昼夜。この間ヘッドフォンも適宜接続。
ヘッドフォンはULTRASONEのHFI-50という一時話題になった音場型。能率は低め。
しかしここでアクシデント発生。長時間(10時間以上)にわたり、通常の試聴レベルより、かなり高く音を出していたせいか(11時位)、右側のコイルが焼き切れて破損してしまった。経年変化(劣化)のせいもあるかもしれない。しかしAMP-7511Mの出力の高さを思い知らされたとともに、エージングは通常聴くレベルで行わなければいけないことを反省させられた。
エージング4日経過後(上記エージングソフトは小音量ながら連続で再生)
ボーカル物の試聴
ホリー・コールのCALLNG
YOUでは息の吸い込みまでリアルに聞こえて生々しく、定位も良いため、まるでそこにいるような感じでぞくぞくします。恐らくSATRI-IC回路S/N比が抜群に高いので、音だけがポッカリとスピーカーから出てくる、使用部品が僅少でかつ配線の取りまわしも最短ゆえの超ハイスピードに起因しているのでしょうか。
続けざまにエンヤの「ORINOCO FLOW」を聴く。出だしの音の広がりとエンヤの声の透明感が素晴らしい。低音から高音まで素直に伸びてオーディオ機器の存在自体が消えてなくなったようです。純粋に音だけを聞かせてくれると言う印象です。ここでもまだケーブル、コード類はノーマルのままです。
この日は分析的な聴き方を一切やめて、次から次へとCDを聴きまくりました。久しぶりに音楽を楽しみました。やはりオーディオは音楽を聴く為の手段に過ぎないのだということを改めて痛感させられました。
ソフト一覧
ツイーターの余分な抵抗、コイル等を取り除き0.33μfのコンデンサーだけ挿入する。
ゲインの切り替えで非常にバランスよくつながった。勿論ノイズは試聴レベルで皆無である。
エージング5日目
欲が出てきた。SACDではどんな音になるのだろうか?分析的な聴き方は辞めようと思ったが、エージングも120時間が経過し、そろそろSATRIアンプの本領を発揮し始める頃合いになったと思い、またぞろ悪い癖が出てきてしまった。CDPの交換。KENWOODのDPF7002からSONYのSCD-1へ。ケーブル類はまだそのまま。
これがSACDの音だったのか。圧倒的なS/N比の高さとダイナミズムに驚く。マイルスの「'ROUND
ABOUT MIDNIGHT」のヒスノイズの質が違う。耳に心地良い。長年聴き慣れたLPの音に似ているが、臨場感と包み込むような音場感はこちらの方が圧倒的に良い。空白(無音)の時間の静寂さときたら絶品だ。そこからフワーと音が飛び出てくるミュートのかすれ具合に思わずゾクっとさせられる。小音量でも確かに音がやせることがない。小音量でこそ、このアンプの真価が発揮されるのではないだろうか。音の分離が実に見事。今までこんな音は出てこなかった。SATRIアンプでSACDの真価を垣間見た。
JAZZ、クラシックと持っているソフトを聴きまくる。
ヨーヨー・マ「コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ作品8」の艶やかな弦の音にしびれる。ホールの響きが見事に再現されている。息づかいまでもがリアルだ。もうこれで十分じゃないか(自問自答:イヤ待て。これがDALE巻線抵抗のアッテネータならどんな音に聴こえるのだろうか。またスケベ心が頭を持ちあげてきた。今から試聴機の届くのが待ち遠しい)。さらにLPの音も聴いてみたい。もともとレコード派ゆえ、SATRI-ICのイコライザーEQA-5610もあるし、これはぜひ次の段階で実現させたい。次から次へとまた欲望が沸いてきた。
「ちょっと待て!」
天の声が聞こえる。もう、かつてのような泥沼には入り込みたくない。どなたかが書いておられた。「罪作りなアンプだ」と。全くもって同感だ。紆余曲折あってのオーディオ遍歴を経て、今のシンプルなシステムにたどり着いたが、又色々と冒険をしてみたくなる。今度はしっかりした自分の判断基準を持って。
一週間経過
試聴1週間が過ぎようとしています。年末非常に忙しい時期に試聴を始めたおかげで、
連日寝不足で
参りました。しかしこのSATRIアンプとの出会いは、オーディオ歴35年、自作スピーカー4本(バスレフ1本、バックロード3本)、自作アンプ(真空管シングル6台、MOS-FET
3台、但し本来文系の人間なので電気知識は0に等しい)、費やしたハードとソフトの金額およそ○千万円?の私にとってあまりにも
衝撃的
でした。
今までのシステム
生意気のようですが、気づいた点を少々
1.私のように高能率のスピーカーを持っている人の為に、アッテネータの抵抗比を選択できると良い(高能率用アッテネーターセットと90dB用アッテネーターセット)。幸い、私の場合はプリPRE-7610を使用しているので、7511M側のゲインを切り替えることにより、とても細かく好みの音量にする事ができるが7511を単体で使用する人にとっては、ボリュームからアッテネータに交換する際、SPの能率に見合った抵抗比を選べるとSCA-7511の能力がフルに発揮できると思われる。SCA-7511は出力10Wとは思えない音量感があり、一般家庭ではそれ以上の出力が必要か疑問に思える。私の場合AMP-7511Mのゲインを20dBにすると、プリ側のアッテネータの試聴レベルがほとんど時計位置で9時から10時前後、一段上げるとかなり音が大きくなる。近所の人が怖くて11時以降のレベルには上げたことがない現状の4ステップ(9時)前までにもう3〜4段音量調整できると夜中非常に助かる。腕に自信があれば自分で適切な抵抗を買ってきて半田付け出来るのでしょうが....。しかし、PRE-7610&AMP-7511Mの組み合わせは微妙な音量調節が出来るので使い勝手がすこぶるいい。
試聴屋より>細かいゲイン調整をしたい場合は、AMP-7511Mに付いている3段切換のものではなく、プリと同じ23接点のアッテネータに交換するだけでさらに細かい調整ができるようになります。D-55のような2ウェイ構成でしたらツイータとウーハのレベル差をここである程度吸収することもできます。プリのゲインが高い場合は、アッテネータの抵抗値を変更するよりもプリのゲイン自体を調整して少し下げるだけで、他はそのままで済みます。これらの変更は、システムに合わせて減衰レベルを変える必要がありますので、個別にご相談下さい。
2.SATRIアンプを購入する方には素人はまずいないと思いますので、付属の電源コードはない方がいい。エージング中はまだしもいずれゴミ箱行きになるのは目に見えています もっともコードが付属していない工業製品と認められないのでしょうか?この辺は不明です。
とりあえず今回はここまででやめておきます。引き続きPart2で巻線アッテネータの比較、ケーブル、コード交換の試聴記をアップ致しますので、宜しくお願い致します。
スピーカー全体
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装 置
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備 考
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入力機器 |
CDP |
KENWOOD DPF-7002
SONY SCD-1
DENON DCD-S10V
YAMAHA GT-CD1 |
K'sシリーズの単買モデル
SACD第一号モデル
DENONベストバイモデル |
アナログ |
YAMAHA GT-2000X
・アーム
・カートリッジ
・MCトランス
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アナログメイン使用中
YA-39
Ortofon SPU-MEISTER/GE
Ortofon SPU-T1 |
ROKSAN RADIUSV
・アーム
・カートリッジ
・MCトランス
|
バージョンアップ版冬眠中
TABRIZ zi
LYRA CLAVIS D.C
LUXMAN E-03 |
アンプ |
プリアンプ |
MACINTOSH C42 |
アナログ専用
(ほぼ休眠状態) |
パワーアンプ |
MACINTOSH MC352 |
アナログ専用
(ほぼ休眠状態) |
プリメインアンプ |
AUDION 300B SilverNight |
現役メインアンプ |
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PRIMARE Model301L |
休眠 |
自作真空管6BQ5シングル |
休眠 |
UnisonResearch SimplyTwo |
冬眠中 |
その他キット物、自宅物数点 |
アドバンス300B、6BQ5、
窪田式MOS-FET、クリスキットなど |
スピーカー |
自作バックロードホーン
長岡式D-55 |
FostexFE208SS+YAMAHA-JA0506
(メイン) |
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JBL |
S3100 |
スーパーツイータPIONEER PT-R6(追加) |
Acustik Lab |
Bolero |
基準スピーカー |
Audiophysic |
Brilon1.0 |
ボーカル 室内楽専用 |
ケーブル類 |
F.S.K |
MG5他自作物 |
電源BOX CSE-A66XL用 |
S/A LAB |
HIGH-END HOSE 3.5 |
他Belden |
S/A LAB |
HIGH-END LINE MWT PLUS他 FSK |
RCAケーブル |
MIT |
T2 他 FSK |
SPケーブル |
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