SCA-7511試聴記
(V4.3+V5.1テフロン+DALE巻線アッテネータ版)
東京のあきさんより
私は今までSCA-7510金皮アッテネータ付きを使用していましたが、新しいSATRI-ICに興味があったのと、今までのSCA-7510を引き取ってくれる知人がいたため、思い切ってSCA-7511(V4.3+V5.1テフロンDALE巻線アッテネータ付き)
にアップグレードすることにしました。
使用機器
CDトランスポート |
TEAC VRDS-8 LClock-XO搭載済 |
D/Aコンバータ |
Softone Model-2 |
アンプ |
BP SCA-7511 |
スピーカ |
自作 長岡式D-111改
FOSTEX BC120 Thiel&Partner C2-12 |
イヤホン |
Etymotic Research ER-4S |
ポータブルCD |
CEC PDS-655 |
パソコン |
Apple PowerMacintosh G3 |
サウンドカード |
M-AUDIO Audiophile 2496 |
あまりエージングをせずに試聴開始。最初の感想は
えっ、何でアナログの音なの?
です。
試聴屋さんが書いてるV5.1テフロン版の特徴がそのまま出てきたみたいです。非常に滑らかな曲線美を思わせ、優しく暖かい音です。今までの音がいわゆるデジタル臭い階段状の音だったと解る音です。アンプでこういう変わり方をするのが不思議です。冷静に聞くと
情報量が数倍増えてる
ことが解ります。ただ原音より暖かみのある音で「これがテフロンの特徴?」と考え込んでしまいます。
エージングが進むと、暖かすぎた音が普通の音に戻ってきたように思えます。いい意味でクールさが加わった音といえます。非常に滑らかでありながら非常にレスポンスの良い音です。自然と音楽に入り込めるのです。活気あるリズム感に活き活きとボーカルが乗る感じです。SATRIアンプの音はよく「蒸留水みたいな音」と評されて、私もそのように感じることがあり今までは納得していましたが、今回は少々印象が違います。蒸留水などという人工無機質なものでなく、透明でありながらミネラルをたっぷり含んでいて、絶えることなく湧き出てくる
天然岩清水をイメージさせる音
です。
いままでのSCA-7510と細かく比べると、低音の質が違います。いままでごく一部の意地悪(?)なソースでは低音不足を感じ、これ以上はサブウーファでも足さないとダメかと考えていましたが、SCA-7511にして、低音不足は見事に解消されてしまいました。これは私の予想外の出来事です。テストCDで低音再生限界を調べても今までと変わりはありませんが、音楽を聴くとまるで1オクターブ下まで伸びたかのように感じ、バスドラとベースがしっかり分離し、ベースの音程が明瞭になりました。電源の余裕が増えて回路が安定動作していることを思わせます。それと
ボーカルのリアルさがまるで違います。
今までのが「唇の動きが解るボーカル」と評すのなら、これは
「舌や喉、そして肺の動きまで解るボーカル」
と評して良いと思います。レスポンスがより正確なので細かい音が聞こえるのです。ちょうど、CDプレーヤのマスタークロックの精度を上げた時に近い音の変化です。今まで、歌詞カードを読まないとなんて歌っているのか解らなかった英語の歌詞が、何も意識しなくても自然と耳に届いてしまいました。ボーカル以外の各楽器もクリアでありながら、音楽に溶け込んでいるのが印象的です。
正直、これほどまでに良くなるとは思っていませんでした。一気に替えてしまいましたので、V4.3、V5.1、DALE巻線アッテネータ、それぞれ単体での評価はできないのが少し残念ですが、私にはアンプの内部を自分でいじる技量はありませんので、その辺は深く追求しないことにします。
さて、このSCA-7511。コンパクトアンプということですから、それらしい使い方も試してみます。まず、ER-4Sをつなぐと
とんでもない解像度の音がします。
完全に鳴らしきった音と言えるのでしょうか。一切癖がありません。音像の脳内定位さえ気にしなければスピーカで聞くことが無意味に思えても不思議でないような気になりました。
お気楽にポータブルCD PDA-655をつないでみました。完全にアンプがオーバースペックで、ポータブルCDの限界が聞こえますが、それでもイヤな音になりません。真剣に聞くのには物足りませんが、1日中かけておくBGM用なら手軽に使えるかもしれません。
最後に、少し贅沢なサウンドカードを入れてあるMacintoshと繋いでみました。サウンドカードからのデジタル出力をDACに入れます。リニアPCM音声のDVDはさすがに良い音で再生します。このときも今までより情報量が多く、滑らかな曲線美を感じさせる音でした。MP3などの圧縮音声も情報量は少ないですが、それなりに聞いていられる音です。よくオーディオ装置の質が上がると、圧縮音声は聞くに耐えない音になる物ですが、SATRIアンプの場合はそれなりに聞けてしまうのが不思議です。
最後に、これだけ音が良く実用的なアンプが手に入ることに感謝したいと思います。 |