銅足試聴記
これが本来の音だなと思った
杉並のS.M様より
銅足交換済みのPRE-7610
使用機器
LPプレーヤー |
Micro
DDX1000 |
アーム |
Audio
Craft AC-3000MC |
カートリッジ |
Ortofon
コントラプンクトA |
フォノアンプ |
illusion
EQA-5620TTC |
トランスポート |
CDT-1010
(試聴屋 CDM12特注トランスポート) |
DAC |
BP
DAC-2000
(SATRI-IC
V4.3テフロン+V5.1テフロン) |
プリアンプ |
BP
PRE-7610
((SATRI-IC
V4.3テフロン+V5.1テフロン+DALE巻線ATT) |
パワーアンプ |
Citation
XX |
スピーカー |
Apogee
Diva |
銅足感想
illuson
EQA-5620を聴いてあまりの音の良さに驚いたことは、先にご報告させていただいたが、この音の良さの原因の1つが、いや1つではなく、かなりのウェイトで銅の筐体と銅足にあると話を聞いていた。最近に至りこの銅の効用を改めて確信するに至った。
illuson
EQA-5620を装置に入れ、デッドストックになっていたアナログを聴き始めてみると、今度はその比較で何ともCDの音が冴えない。アナログの、キレがあり、そうでありながらほのかに湿り気のある暖かい音を聴いてしまうと、どうにもCDで聴く音に魅力を感じないのである。
何とかしなくてはとDAC-2000を入れてみたが、やはり追い付いたという気がしない。CDだけ聴いていれば穏やかな音であり、まあこんなものだろうと思うが、アナログを聞いてしまうと、この穏やかな音では何となく音楽が生き生きとしないのである。
DAC-2000の天板の上に砲金のレコードインシュレーターを置いてみたり、カーボン・ピースを置いてみたり、AETのインシュレーターやカーボン・ピースで底板から持ち上げてみたり、足にセイシンの「らせん」を噛ましてみたりしたが、少しは改善されるものの、やはりアナログに追いつかない。しかし、illuson
EQA-5620に、DAC-2000と同じように上に載せたり、下から持ち上げたりしてみると間違いなく音が悪くなる。制振と言っても、振動を抑えすぎても駄目であり、またその材質の音が乗りすぎても良くない。
耳に最も心地よい響きは銅である。こりゃ、やはり銅しかないなと思った。DAC-2000には銅の筐体はない。しかし銅足に替えることはできる。DAC-2000の標準の足はステンレス製で接地面にコルクが貼ってある。コルクの音がしているな、これがキレをなくしている原因の1つではないかと思った。試聴屋さんに質してみると、「コルクはPL法に従って付けられているもので、置き台に傷を付けないようにするためのものです。音質的に良くするものではありません。」とのことである。これでは、やらぬ手はない。
はずしてみると、ステンレスの足は立派なもので小さいながら厚みがあり、ずしりとした質感であるが、コルクを埋め込んで貼ってある。埋め込んで貼ってあるので、コルクを剥がすと丸い穴ができてしまい、このままでは接触面が円筒みたいになって使い物にならなくなってしまう。また使いたい人はコルクを剥がさないようにお勧めする。これを銅足に変えてみた(足を変える作業は、DAC-2000は案外難しい。足のネジ穴が基板の下にあるので、これを外さないとできない。今回は試聴屋さんにお願いした。当方のようにメカに弱い人はその方が無難である)。
DAC-2000には3脚用のネジ穴も切ってあり、今回は標準の4脚から3脚にした。4脚にすると水平がなかなかとり難くガタが出やすいので、安定しやすい3脚にしたが、ラックがタオックのように水平バランスがボード調整である程度可能な場合は、やはり4脚の方がいいかもしれない。
銅足交換済みの装置群(LPプレーヤー除く)
この銅足での3脚と4脚の違いは試していないが、AETのインシュレーターで試した時は、3脚はキレが良くなったように聴こえ、4脚は安定した音に聴こえた。
一聴、音が変わった。
これが本来の音だなと思った。アナログに近づいたのである。一緒に聴いていた友人も、「良くなった。アナログに引けをとらない。雰囲気はこちらの方がいいのでは」と言った。
こうなるとプリも銅足を試したくなる。PRE-7610は、DAC-2000に比べると作業は楽である。足のネジ穴が基板にかかっていないので、ケースを外せばそう難しくなく交換ができる。素人でもできそうである。もっとも、当方はこれも試聴屋さんにやってもらった。ただし、DAC-2000のように3脚用のねじ穴は切られていない。4脚で交換するしかない。
音を聴く。
やはりいい。すこぶる付きの良さである。
音楽が生のように甘く柔らかく自然な響きとなり、耳につくところがなくなる。音に芯が通る。PRE-7610に付いている足は、DAC-2000と違って材質はアルミであり、厚みもそれほどない。接地面にはゴムが埋め込んで貼ってある。軽くて高級感は全くない。ゴムも何の変哲もないものである。DAC-2000がステンレス・コルクであるのに、PRE-7610はアルミ・ゴムである。音質的なことからこういう選択になったのか、それともコストの点からこうなったのかよくわからないが、音としてはPRE-7610はこのままでもかなりのものである。傑作プリだと思う。
従って、これを銅足に替えたら良くはなっても悪くなるわけはないと思ったが、
予想を超えてもっと良くなった。
ところで、足を付けたままインシュレーターを使い、ネジなどの引っかからないフラットなところで底板を支えても確かにいい音になることもある。しかし、やはりメカニカルアースをきちんと取ると言う考え方からすれば、付いている足を取り外してその場所に新たな足を付ける、また、そこにインシュレーターを置くことが、音は一番いいというのは容易に推察されるところである。
銅足の効用は凄い。1個
2,000円であるから、コストパフォーマンスからすれば抜群である。音が変わるのを楽しむのではなく、いい音にしたい、いい音で音楽を楽しみたいというのであれば、銅足である。高いインシュレーターを買う必要などないと言える。銅足のPRE-7610は音としてもう言うことはない。
これで銅筐体のPRE-7610があれば、どれくらい素晴らしく音になるのだろう。銅筐体・銅足のサトリのプリがもし出ると聞いたら、それだけできっと「ぐらっ」と来るような気がする。
フォノアンプから始まった銅足化は、今のところトランスポート、DAC、プリまで来た。メインアンプも銅足を試したいのだが、何せ大きくて重くてかつ古い製品なので、素人の当方ではお手上げである。試聴屋さんに相談しようと思っている。
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