PRE-5410Mk2試聴記
東京のS.M様より
現在、サトリプリPRE-7610を使用中であるが、今回、PRE-5410Mk2が出たと言うことで比較の意味もあり試聴させて貰った。
一聴するや、クラッと来た。
全然、いつも聴いているブラームスの歌曲(KAPRICCIO-10-204)ではない。
違う場所、何だか天井の高い広いところで歌っているように、伸びやかに、ゆったりとして、しっとりとして、これぞブラームスと聴こえる。声のニュアンスが濃く出るので白井さんのメゾソプラノが深々として染み透るように聴こえる。バックのピアノも音が厚く声との均衡が良い。マーラーのシンフォニー5番(ブーレーズ・ウイン)を聴くと音場が左右のSPの外側に広がり音に包み込まれるような臨場感であり、大編成ながら各楽器が分離し浮き上がって聴こえる。オペラを聴いても同じである。情報量が桁違いということか。乗り出して聴くと舞台が見えるようであり、腰をシート深く沈みこませ、目を閉じて聴けば音楽に包まれる。
どうしてこういう音が出るのか、よくわからない。
比較で聴いている僕のプリは、同じサトリ・アンプのPRE-7610であるが、ボリュームはAP-23に、SATRI-ICはV4.3+V5.1テフロンに、銅足・銅ネジに、フューズはジルコン入りクライオ金メッキと換え、それに外付けでコンデンサーを追加した出川式電源と各所を強化している。キビキビした切れの良い音が身上で、それなりにいい音がしていると思っているアンプであるが、PRE-5410MK2を聴いてPRE-7610に戻すとPRE-5410MK2の方がはっきりと上質であることがわかる。
車に例えると、PRE-5410MK2はV8 4000CCのセルシオの乗り心地であるのに対し、当方のPRE-7610は高性能の2000CCのスポーティー・カーの乗り心地と言ったような違いである。
PRE-5410MK2で聴いているとひたすら音楽、音楽に沈潜してしまい、オーディオのことを忘れてしまいそうであるが、PRE-7610で聴いていると、これは凄い低音だ、高域がもう少し伸びたら、などとオーディオ的チェックをしながら音楽を聴く、と言った感じである。両者の音質・音触のベクトルがまるで違うが、どちらがいいか、これはもう勝負にならない。格違いである。
一緒に試聴していた友人から翌日次のようにメールが来た。
******************************
昨日はどうも有難うございました。
最新プリ5410MK2恐るべし!アポジーDivaが蘇生したような感じでした。
まさに古い革袋に新酒といったところでしょうか。
とくに声楽の再生には感心しました。芳醇さは失わず全域に透明感が増し、以前に比し歌詞をよく聴き取れるようになったのではないでしょうか。
******************************
今まで使っていたPRE-7610とどこの違いでこういう音になるのか、プリを換えただけで何故こんなに変わるのか、やはり良くわからない。日を経ずしてPRE-5410MK2を発注してしまった。(記
S.M)
|